暴力脱獄

あらすじ:戦場で勇敢に戦い多くの勲章を得、一時は軍曹にまで昇進しながら一兵卒として除隊された男ルーク・ジャクソン。彼はある晩酔ってパーキングメーターを損壊した罪で、フロリダの刑務所に収監される。
刑務所でルークを待っていたのは、過酷な労働や体罰で囚人たちを支配しようとする所長とその部下の看守たちだった。ルークはそこでも権力に屈せず、あくまで反体制の姿勢を貫こうとする。やがてルークは刑務所の顔役ドラグラインを初めとする囚人たちの尊敬を集め、彼らの偶像的存在になっていく。だが、それは同時に刑務所にとってルークが看過できない存在になったのと同じ意味だった。(wikipedhiaより)


感想:
最初のルークの罪状から、彼の心情が実に良く出ている。
なんせ、酔っ払っているとはいえ街中のパーキングメーターを捥いでしまったのだ。そしてソレに駆けつけた警察に逃げる事無くその事を伝え捕まる。
そこから彼は厭世的であり何かしら破滅している事がうかがい知れる。
そして世間から離れて刑務所に行くのだが、刑務所に行っても彼の思い描くような世界ではなく、看守が囚人をイジメ、囚人はソレに疲れきって抵抗しない。
戦場から国に戻って、刑務所へと流れたがどれも同じ権力構図だった。
彼はそんな囚人達を奮起させるべくボクシングで延々と挑み続けたりゆで卵を食い続けたりする。
そんな彼の様子が看守の目に止まり、母の死と合わせる様に看守に反省房に閉じ込まれる。彼はそこから出ると母親の死で吹っ切れたのか、それとも反省房に入れられた反抗からか、その両方か刑務所の脱走を何度もチャレンジする。
そこに希望があるという人もいるが、間違えれば射殺される危険な賭けに挑み続ける彼の姿が自殺志願者のようにみえたのは俺だけだろうか。
彼は深夜の教会で神に尋ねる。

俺は悪党だ。
戦争で人を殺し酒を飲み公共物を破損した。
それにしても随分な仕打ちじゃないか。
あんたは負け札ばかりをつかませる。
ルールだ、規則だ、看守だと…。
俺も最初は強かった。だがそろそろ終わりだ。いつ終わる?教えてくれ。

その言葉は世界のズレに付いていけない彼の弱さが2時間の映画で唯一現われたシーンである。

最後までハードボイルドを貫き通すルークの不器用な生き方と彼の極上の笑顔が見れる最高の映画だった。

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