ドラゴンボールZ 神と神

あらすじ:全宇宙の運命を賭けた魔人ブウとの壮絶な戦いから4年後。39年の眠りから目覚めた破壊の神ビルスは、付き人であるウイスからフリーザを倒したというサイヤ人の話を聞き、孫悟空の前に現われる。


感想:
現役ジャンプ映画では出来ないドラゴンボールならではの映画であった。
映画を観る前に、ジャンプ映画のテンプレである。
みんな集る→未知の敵が襲来する→みんな負ける→敵が有頂天になる→主人公覚醒→敵を倒す。をそのまま上映する気がして不安だったが、蓋を開けてみたらこの映画はテンプレ映画ではなく、同窓会のような雰囲気とドラゴンボールがバトル漫画になる前のコメディタッチな笑いどころの多い映画になっていた。
思えば、入場して目に入ったのは観客の年齢である。ドラゴンボールといえば子供からおっさんまで大好きなアニメだから、日曜日に行ったこともあり子供が多いと思っていたら同年代の男女ばっかりで子供は彼らの息子・娘のようだった。
そこら辺の観客層に合わせていたのかもしれない。シリアスではなくコミカルなのは知らない親に連れられたきたドラゴンボールを知らない子供達への配慮かな。
まぁ懐古するだけなら漫画やDVDを観れば良い。映画内容は懐古以上の素晴らしいものになっていた。キャラクターが成長している。特にべジータ
もっと言うと、この映画はべジータ救済映画である。
予告で分かるように悟空が戦い世界を救うが、映画自体の成功はべジータの賜物である。
TVアニメ・原作で終始高飛車な態度を取っていたべジータが世界を救う為にプライドを捨て去るのだ。それも強要されたわけはなく自主的に。
昔はヤンキーだった男が結婚して子供が出来ると丸くなるように。子を持つ親の逞しさをべジータが存分に表現している。
また戦闘シーンでは一部CGがあるものの殆ど作画を行っていて迫力のある戦闘となっている。TV版フリーザ戦ではセル描きだった為にキャラがダメージを負い汚れていくシーンが魅力的だったが現代ではデジタル作画となっているのでちょっと物足りなさはある。
敵の破壊神ビルスも、ヒールではなくあくまで神として振る舞い。世界各地の神話にある破壊神のように気分を害すると破壊衝動に駆られるタイプなので故意な悪行はないのは良かったと思う。コメディタッチに描かれるからこそ勧善懲悪ではない形が生きる。

この作品は、ドラゴンボールの映画を小さい頃に観たくらいのおっさんには驚きと哀愁を感じさせる素晴らしい映画だった。またドラゴンボールを知らない子供でも飽きないようにややベタなギャグが盛り込まれている為に飽きずに観ることが出来るだろう。

脚本には鳥山明が参加した為にいろいろ考えているわ。本当。

予告編↓

余談。
最後までビルスが神としての威厳を失わないのは、配給が20世紀フォックスなので世界展開を考えた時に人が神を倒してしまう事で宗教的な問題が起きないようにする為なのだろうか。

余談2。
流行だから仕方ないが、スポーツマンが1役演じていて一言喋るが世界観をぶっ壊すほど酷いので耳を塞ぐがいい。