アイアンマン3

あらすじ:
アベンジャーズでの戦闘後に自身の無力さにトラウマを持ってしまったスタークは不安を取り除く為にアイアンスーツの改良にのめり込む。
同時期にアメリカの名所を狙った爆破テロが相次ぐ。テロリスト集団「マンダリン」のボスは偽りのアメリカ国家への反逆を電波テロを使って世界に声明する。
そんな折、運悪く爆破テロに巻き込まれてしまうスタークの元警護員ハッピー。彼の容態を見たスタークは激情から、マスメディアに向けてマンダリンへの報復宣言を行ってしまうのだった。


感想:
2008年に「アイアンマン」が上映さえ、2010年に続編「アイアンマン2」が上映される。そして、アイアンマン三部作の完結として2013年に公開されたのが、「アイアンマン3」である。
映画版アイアンマンは三部作を想定されていた為に今作で一端の終了となっているが、マーベル映画でも高収入が見込まれる作品だけに、2015年公開予定のアベンジャーズ2ではロバート・ダウニーJr.のアイアンマンが見れる模様。*1
第一作、第二作と監督をジョン・ファヴローがメガホンを取っていたが、いろいろあって、今作はシェーン・ブラックが監督を行い、ジョン・ファヴローは製作のみを行っている。ハッピー役はいつも通りにジョン・ファヴローが演じている。ちなみにマーベル映画には毎度カメロ出演する事で有名なスタン・リー*2は今回の健在である。
第一作の序盤でアイアンマン製作に大きな貢献をしたインセンもちょい役で出てくる。


そんなこんなでストーリー。
第一作では副社長で、第二作ではライバル会社の社長がボスだった。ようは同業者がライバルであった。敵の武器も自分のアイアンマンスーツを真似たモノであった事に対して、第三作ではテロリストと遺伝子操作された特殊能力者と一風変わっている。テロリストというのは、第一作でアイアンマンスーツを作るに至った「テロリストに拉致られた過去」という”邂逅”であり、特殊能力者というのは、アイアンマンスーツを纏うスタークとは、生身の人間がアイアンマンスーツという外的チカラで守られているという事実に対して、遺伝子操作された特殊能力者は、遺伝子を書き換えられて内的チカラで守られているという、”外とウチ”の対比であろう。
敵のチョイスは完結編らしいじつに上手いチョイスである。


アイアンマンというヒーローは、他のヒーローとは違っていて、マスクを被っているのに身分が明かされている。ヒーローがマスクを被る理由は、多々あるが。大体は、「自身の身元を隠す事によって身内を守る効果」と「マスクを被る事によっていつもと違う自分になれる効果*3」の二つだと思うが。
その二つの理由を財力と技術力で補ってきたスタークに対して、今作ではマスクを被る事の意味を問われる。それも実に面白かった。
もちろん、身分を明かしている事による一般人の協力というメリットも観れる。


ストーリー自体は第一作、第二作とは毛色がちょっと違うが面白く出来ていると思う。
終盤の戦闘やアイアンマン大集合という流れも盛り上がりがあるし、最後の最後まで笑わせてくれる。


ここから不満点。
スタークの精神病設定が面倒臭い。
外傷による病気*4は、外から見ても分かるし外傷のショックによってピンチが生まれる展開にも一応の納得が見いだせるが、精神病となると見た目が変わらず突如発症するから、シナリオの都合で発症という脚本家サイドの問題を押し付けてしまったように感じていけない。
また外傷なら、傷が治れば回復だが。精神病になるといつ、どの瞬間で回復したのか。それとも回復しなかったのか。視聴者にはわかりづらく盛り上がりに欠ける。


少年。
少年がイジメにあっているという設定の真偽はどうだったのか。スタークも少年も軽口なのでジョークという可能性もあるが。ヒーローモノとイジメ問題というのは、結構繋がりが深いので、その設定を生かすなら生かすなりの物語を用意するべきだったんじゃないのか。ただリホームして終わりじゃなくて、少年に渡した閃光弾(?)は、あの時に使うんじゃなくて、ED前に苛められている少年が閃光弾だと思って押すと、アイアンマンが飛んでくる程度の方がヒーローらしいし、高飛車なスタークがあえてやることで彼の成長が描けたんじゃないのか。


マンダリン
テロリスト集団マンダリンの目的が一つの主義や主張がなく、*5最後はスタークへの因縁に集約するのはヴィランとしてはつまらない。
屋上で待っていた男が、20分は来る事を待ち、1時間は死ぬ事を考えた。しかし、下を見たら誰も自分を見ていなかった。というのは絶望としては死ぬ気がするので、そこで微かな希望。例えば、向いのビルのガラスに「エクストリミス」が見えたとか。いれるべだた。屋上で待っていた男と植物学者の出会いが描かれなかったのもなんとも。



総括。
ペッパー最強。
あの女、アベンジャーズ2で絶対にあのチカラ使って暴れまくりだろ。
映画としては不満は無いんだけど、アベンジャーズのお祭感の後に観るとアイアンマン一人では盛り上がりが欠けるよね。
あと、本編前に「アベンジャーズ2を2015年に公開するよ」って教えてくれるPVが流れるのだが、アレ最後の方が良かった。
アレのせいで、最後の「スタークは戻ってくる」とか陳腐になっちゃったもん。
後、今まで最後の映像は、次のヒーローに繋げる内容だったのにソレがなくなっちゃのも…。
適当にロキが新聞読んでいて、新聞に「マンダリン壊滅」。そこにソーがきて「チカラを貸して欲しい」でいいじゃん。

*1:ダウニーJr.自体がアイアンマンを演じる事に抵抗を持っているようなので、アメイジングスパイダーマンみたいにスタッフを入れ替えての新しい劇場版アイアンマンはありそう

*2:アイアンマン3では水着美女コンテストの審査員

*3:ペルソナ

*4:アイアンマン2の毒素など

*5:資本主義の転覆とかアメリカへの授業とか反体制はテロの目的であり、ボス目的としては…