劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ

あらすじ:シュタインズゲート世界線にたどり着いて1年が経った夏。牧瀬紅莉栖がアメリカから帰ってきた事を祝し、ラボの屋上で皆でバーベキューをしている最中、岡部倫太郎は突如頭痛に襲われる。巡ってきた世界線での出来事が彼の前に幻覚として現れ彼は一時パニック状態を引き起こす。そして次の日、岡部倫太郎は牧瀬紅莉栖の目の前で消失した。

予告編↓


感想(ネタバレはちょっと有り):
『蛇足』って言葉の由来を知っている?
昔の中国人が、地面に蛇の早描き勝負をしていて、最初に蛇を書いた奴が「うっわ、蛇描くのお前おっそ! 蛇なんて俺一瞬で描けたぜ!! 超早いからこうやってオリジナリティを加味して足まで描いちゃうぜ」って蛇の絵に足を描いたら、やっと蛇の絵を描き終えた対戦相手が「足描いたら、蛇じゃネーじゃん。コモドオオトカゲじゃん。よって俺の蛇が有効。お前の負け」って勝利宣言して。最初に書き上げた奴が「ノーカン!ノーカン!!」って騒いで、その様子を見つけた一休が「では、この地面に描かれた蛇を地面から取り出して僕の前に連れて来て下さい」って言うから。殿様がハリー・フーディーニを呼び寄せて、奇術でコモドオオトカゲを召喚したら、みんなコモドオオトカゲの毒によって死んでしまった。って話。

意味は、コモドオオトカゲ危ない。


映画の感想はね、消失した岡部倫太郎を救うべく牧瀬紅莉栖が奔走する話。
ほぼって言っていいほど牧瀬紅莉栖が中心で話が進むので「俺、まゆしーファンだしー」って人にはあんまり面白く無いだろう。他のキャラファンでも全体の70%が牧瀬紅莉栖と岡部倫太郎の絡みで作られているので期待するな。俺の好きなもえいくさん*1なんて、「台本ありました?ペラ一枚で済む台詞量でしたけど?」って心配になるくらい無かったわ!
劇場版アニメと銘打つにしては、映像で表現するよりも言葉での表現が多くて、まるで誰かがプレイしているノベルゲーを端から見ているような気持ちになる。
折角の劇場版なのだから、劇場でしか出来ない挑戦を見せて欲しかった。
もっと言うと、本編のシュタインズゲート自体を知らない人に説明する為のあらすじを最初の30分に持って行くというのはいかがなものか。シュタインズゲート知名度がいかほどのモノかは知らないが。俺が客席を観た限りでは、既知っぽい人ばかりだったから、1時間40分のという限られた上映時間を未見に裂くではなく、最初から岡部倫太郎の消失で初めて欲しかった。そうすれば、言葉で済ますのではなくもっといろいろと表現できた部分があると思う。もえいくさんの台詞とか!もえいくさんの台詞とか!
もちろん良かった点もある。
もえいくさんが登場した事だ。ぶっちゃけあの人がいてもいなくても話が進むストーリーだったのにちゃんと登場していた事だ。
後はさらっとTVシリーズでは省略したファン絶望の「無限サイクリング」や「アサシン綯ちゃん誕生列伝」などが見れる事もうれしかった。
クリスが中心だからクリスファンは彼女の喜怒哀楽が存分に見れるからソレも嬉しかっただろう。ミンゴスも代表キャラが鉄板千早以外にも出来て、有名声優に成れた事が嬉しかろう。

でもね、これは我侭ですけど。
俺が観たかったのは、本編のシュタインズゲートにたどり着く為に必要な要素って、岡部とクリスとダルと鈴羽だけだったじゃないですか。まゆしぃやルカ、フェイリス、もえいくさんとか非技術系・日常パートの人々って蚊帳の外だったじゃないですか。そこら辺をね、ラボメンの絆をテーマにしてね、みんなが一丸となって今まで助けてくれた岡部を救い出すために努力する姿ってのが見たかったんですよ。「あ、そういえば…」的な要素じゃなくて、もっとこう秋葉原を汗かいて疾走したり妖刀五月雨を振り回したり、ライネット大会の景品がキーアイテムになっていたり、無理くりでも全員の協力が見たかった。
後は他のカオヘやロボノキャラがカメオ出演していたりしてれば面白かったのにね…。



そんな感じで『個人的』良くも悪くも凄く微妙な映画でした。ラジオドラマやDVDの特典映像にするのは勿体無い出来ではあったけど、この前発売したファンディスク2に入れておけばいいようなレベルでした。
うーん、実に残念。


余談。
記憶違いかもしれないけど。カオヘの某ルートエンドで主人公が敵の攻撃を受けすぎて自身の人としての存在が崩れてしまった時に、ヒロイン達の想いを感じて人として再生するって話があったように思うんだけど。ソレを劇中に思い出した。


余談2.
事実がどうだか知らないけど。
現実の2011年の夏って震災後でテンヤワンヤだったじゃないですか。
その様子が全くない事を観るとシュタインズゲート世界線は震災も無かったのかねぇ。
そう思うとシュタインズゲート世界線って岡部に限らず、かなりの楽園だな……。

*1:桐生萌郁の愛称