フッテージ

あらすじ:過去の栄光にすがって生きる作家の主人公は一発逆転を狙って、過去に一家四人が首吊り死体として発見され娘が失踪したまま迷宮入りを迎えた事件を追う事を決め、その事件現場である家に妻と子供二人を連れて住み込む事を決める。
引越しの最中に屋根裏部屋で謎の8mmフィルムと映写機を見つける。

予告編↓

感想:
タイトルのフッテージとは「撮影されたフィルム」という意味らしい。
ちなみに原題は「フッテージ」ではなく「Sinister」となっていて、意味は「邪悪、不吉、縁起の悪い」という意味らしい。映画を観るとドッチがタイトルでも納得できるので特に不満は無い。
監督を「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソン。製作を「パラノーマル・アクティビティ」のジェイソン・ブラムが担当し、主役を「トレーニング・デイ」や「デイブレイカー」のイーサン・フォークが演じている。(微妙な出世作ラインナップ……)

内容、引っ越してきた家に残されていた8mmフィルム。
タイトルには「家族といっしょ」「プールパーティー」「バーベキュー」「芝刈り」「おやすみの時間」とテープの内容らしき言葉と、撮影年が表記されていた。
主人公は、このテープが一家首吊り事件に何か関連があるかと思い、家族が寝静まった夜遅くに同梱していた映写機で再生する。
「家族といっしょ」。映し出された映像は主人公が住んでいる家の中庭で首を吊った家族が楽しく遊んでいる映像だった。それはどこにでもあるホームムービーのようであったが、上映されて数分後、場面が変わり、麻袋を被った家族が真横に並び首を吊り上げられる映像に切り替わる。他のフィルムも全て誰かが撮影したスナップフィルムだったのだ。
って、8mmフィルムだから、映像のみで音や声は記録されていないんだけど。そのスナップ映像に合わせるように劇伴が流れるのだが、それがなんとも表現しずらいおどろおどろしい音楽で、映像の不気味さを上手く引き立てていた。
それ以外にも、アメリカのホラー映画というと、無駄にロックやメタルが流れたりするが。この映画はそういったトゲトゲしい音楽ではなく捉えようの無い不気味さがある。圧倒的に陰鬱になった中田ヤスタカみたいな音楽で構成されており、突然現われて驚かす「ビックリ系ホラー」もあるのだが、ジワリジワリと主人公と客の精神を削ぐような怖さの描写が上手かったと思う。深夜の映写機のモーター音の演出は怖かった。後半は夜になると他のBGMに被せてモーター音を入れていたよね。二度目、三度目となるうちにソレが実際の音なのか幻聴なのか悩む主人公とそれにお客さんが同調する効果が上手く出ていた。

不満は、シナリオの弱さ。
悪魔が悪魔らしい髑髏っぽい顔で登場するのだが、8mmの中だけに留めておいたほうが良かったな。実際に現われるとその悪魔のファンタジーさが薄れてただの変人ぽくなっていしまった事が残念だ。悪魔自体は何も狂気的な事をしないし。
そうゆう狂気は、死んだ子供達の方がかくれんぼするみたいに登場したりしていてソッチで補えていたと思う。
後、入れたいホラーシーンの為に息子が病気持ちに無理矢理したような。息子の無駄さ。最初から最後まで息子の必要性は薄かった。夫婦にも娘ほど絡まないし。どうみても足手まといだった。
主人公も作家の癖に推理力が薄く先の展開をこっちが読めてしまい。いらついた。


ともかく。
音響が凄くいけているので、映画館という大音量・サラウンド・暗闇という場所で観るには良い。最後の展開も読める展開ではあったがそこまでに至る小さな伏線が収束されたりするので満足感が沸く。
思っていたよりも良い出来栄えだった。



余談。
あの悪魔、少子化の日本じゃ大変な苦労だろうなぁー。
独り身が引っ越してきたら終わっちゃうもんね…。