新たなる跳躍

「お金が無い」と公言しても、それが織田裕二のモノマネであると認識できた時はいつまでだったのだろう。ある時から織田裕二のモノマネといえば、某警察映画より「レインボウブリッジ封鎖出来ません」とか「事件は会議室で起こっているんじゃ無いんだ。現場で起きているんだ」に摩り替わり、織田裕二が青島キャラに嫌気が差して、俳優からキャスターに転身すれば、世界陸上で魅せた「キターーー」が織田裕二のモノマネの代表格に代わっていた。世界が街を歩く織田裕二を指差し「キターーー」と電車男ばりに叫ぶので、織田裕二は何処にも行けず自室で思考の迷路に囚われ、こんな調子じゃいかんと一念発揮し、これほど自分の言葉が人を惹き付け真似したがるのであれば、それを利用するしかないと、某警察映画に舞い戻り「バナナ」と叫ぶが誰もソレを真似しようとは思わなかったのである。
寓話のような酷く出来の悪い季刊世にも奇妙な物語のような顛末を思い出したのは、俺が現在、お金が無いからだろう。
「銭の花の色は清らかに白い。だが蕾は血がにじんだように赤く、その香りは汗の匂いがする」
と言っていたのは細うで繁盛記の新珠三千代だった。
「銭の花は白い。しかし、その根っこは血のように赤いんや」
と言っていたのは、GS美神の横島忠夫だった。
銭の花もケシの花も咲かない不毛の土地なので、花が白いのか根が赤いのか。根堀り葉掘りの葉掘りの成功率すら知らない。
仕方なく私は、自室で一人白木みのるの銭$ソングをかすれた声で歌う。
「銭あるぞ 銭あるぞ あげるよ あげますよー 百億円 千億円 もってけ もってけよー」