僕たちの終末

あらすじ:近未来。太陽の活動が活発化し地球滅亡が囁かれる日本で、神崎正を地球脱出を計画する。脱出用の恒星間ロケット製作の為の資金集めに立ち上げたHPには「終末は宇宙にいこう」といううたい文句が踊った。これは民間企業の宇宙船作りを通した青春SF物語である。


感想:
先日、堀江貴文さんと岡田斗司夫さんの対談を観ていたら、二人でオネアミスの翼の続編を作りたいという話から、堀江さんのロケット作りの熱弁を聞き。そういえば、部屋の中に読みかけの宇宙船製作モノがあったと読み直したのだが、なかなか良い物語だった。
民間企業が宇宙船を作る上での技術的な問題点の多さやそれを乗り越える方法の説明が大量にあって読んでいて面白かった。物語のある空想化学読本みたいな感じで。
しかし、その分、物語としてはかなり弱く。キャラクターの設定はテンプレだし、主人公のワガママと真意の不明さ、家族との確執の解消は行われず。終盤は長台詞で問題を片付けるってのはどうなんだろう。4章までに積み上げてきた問題を、5章の頭で回想という形で片付けてしまうのはちょっと不満が残った。技術的なモノであれば進歩と思い納得は出来るものの、仲間の退職や敵対会社との合併などは物語として記す必要があったように思う。
それでも、文体がラノベっぽい軽いノリなのですらすら読め、かつ物語としては長いので暇な人にはオススメ。
キャラクターの設定を作り直して全体の年齢を大学生や高校生にすれば5bpのギャルゲでいける。

余談。
こうゆう全てに合理性を求めようとする小説ってのは青春モノよりも推理モノの方が向いているよね。

僕たちの終末

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