真夏の方程式

あらすじ:美しい海を持つ玻璃ヶ浦で男の変死体が見つかった。
亡くなった男が滞在していた宿屋に偶然泊まっていた湯川学と夏休みを利用して親戚の旅館に遊びに来ていた恭平は、その不可解な事件の謎を探る。それは、旅館を経営する一家の絡み合った謎の解明に繋がっていた。
↓予告編

感想:
ガリレオシリーズは2期がちょっと不満な出来だったが、それでも福山雅治演じる湯川学のキャラクター性や物理トリックは好きなのでついつい見てしまう作品である。ゆえに、この映画の事前知識を得ずに映画館に足を運んでしまった。
この映画は2つの出来事で作られている。
シリーズを通して「子供嫌い」を明言する湯川と、「探求」を知らない少年のひと夏の交流を描き、少年の成長を描くパートと。玻璃ヶ浦の旅館で起きた男性の転落事件を通して、旅館経営者の川畑家に潜む謎を解くサスペンスパートに別れている。
湯川と少年の交流は、じつに見事で、子供嫌いの湯川が少年に科学の面白さ、真理を探る方法を伝える内容は素晴らしく、また玻璃ヶ浦の海(撮影場所は伊豆か?)の美しい映像は銀幕という大画面で見るとさながら海を泳いでいるように思えるほどであった。
この映画の不満点は、川畑一家のサスペンスパートにある。
物語の始まりである男性の転落事件が、話が進むにつれて酷く無理があり、映画の終盤には「そんな面倒臭い殺し方をしておいて、遺体は投げ捨てるだけかよ……海が近いんだから、重りつけて鎮めろよ」と突っ込みを入れざる得なかった。そして、その犯罪の協力者の存在にも、「犯人のお前らが必死に『仕方なかった』と切羽詰った言葉を重ねても、その協力者の事を何にも考えていない行為には反吐しか出ない」であった。
そんな感じで、良い所は確かにあるのだが、事件自体がエンターテイメント性が低く、意外性を高めすぎて共感を得られない、ミステリーのシリーズモノの終盤にはよくある奴だったので、そこら辺を観客自身がどう処理するのかで評価が変わるだろう。後、再三言うけど、協力者の存在。
劇場版とするなら、敵は難解な事件ではなく「容疑者Xの献身」のような同じ天才であったほうがスリリングで面白くなっただろうと思われる。



余談。
最初のシーンの、母親が娘に新聞を見せる行為と「お父さんには内緒だからね」って言葉で事件の答えがあるのもどうかと…。