実写版ガッチャマン

世間が「酷い映画だった」「糞映画だ」と非難轟々していたので、「お前ら映画見なさ過ぎ。俺ちゃんくらいのレベルになれば……」と高をくくって肥溜めに足を入れてみたら、肥溜めから糞尿まみれの男が現れて足を掴まれ肥溜めに肩まで漬からされ、酷い目にあったと糞尿にまみれた身体で犬をも殺す臭気を放ちながら、帰宅したら、その肥溜め男が自分と同じように糞尿まみれで居間で飯を食っていた。位の驚きだった。
簡単に言うと、数々の映画を見てきたが初めて上映中に席を立ちたい気分になって。後半ではこんな映画を見てしまった自分が情けなくなって泣けた。

あらすじ:
西暦2050年代。突如現れた謎の組織ギャラクターは全世界に宣戦布告を行い、わずか17日で地球の半分を占領した。人類は不思議な結晶体である石に人類絶滅阻止をかけることになり、それを受けて国際科学技術庁の南部博士は、約800万人に1人といわれるその石の能力を引き出せる適合者探しを開始する。南部博士は適合者5人を探し出した上で施設に強制収容し、究極の兵器になるよう訓練を行う。そして究極の兵器に変身した5人はガッチャマンと名乗り、ギャラクターに立ち向かうのであった。(wikipediaより)



感想(ネタばれ有):

感想なんて「くそったれ」の一言なんだけど。


ちょっと詳しく感想と話の流れ。
1970年代に人気を博したタツノコプロ製作のアニメ『ガッチャマン』。それの実写映画版。
メガホンを取ったのは、映画カイジシリーズや家政婦のミタなどで監督を務めた「佐藤東弥」。脚本には20世紀少年やGANTZ・ドラゴンボールZ神と神の「渡辺雄介」が務め。エグゼクティブプロデューサーは三丁目の夕日デスノートをプロデュースした「奥田誠治」を据え。
主演のガッチャマンらには「松坂桃李」「綾野剛」「剛力彩芽」「濱田龍臣」「鈴木亮平」が演じている。
ぱっと見ると、豪華スタッフが揃っている。*1

あらすじだけではわかりずらいストーリー。
まずこの映画は原作ガッチャマンのストーリーと乖離している。
同じ点はガッチャマンという5人組の組織が地球征服を狙うベルクカッツェと呼ばれる悪と戦っている点くらいだ。*2
世界は、ギャラクターと呼ばれる謎の組織によってボロボロの状態になっていた。ギャラクターは“シールド”と呼ばれるバリアで自身をコーディングしており、人類の近代兵器は通用しない最強の敵。
ガッチャマンら5人は、身体能力が上がりカッツェ率いるギャラクターに対抗できるチカラを授けてくれる“石”に選ばれた特殊な人間で構成された戦闘集団。“石”のチカラだけがギャラクターの身に纏う“シールド”を突き破るチカラを持っていた。
世界中で起こるギャラクターの暴虐をガッチャマンが阻止するってのが大体の話。

まず始まりから失敗していた。
舞台設定の説明(上のあらすじが語られる)の後。
最初のシーン。浜辺で遊ぶ少年二人と少女が砂浜に絵を描きながら何気ない会話をしている。
少年1「ウィルスXに感染するとギャラクターになっちゃうんだよ」
少女「でも、石のチカラがあればギャラクターにならないんだよ」
少年2「石のチカラが消えたら?」
少女「その時は……」
大体こんな感じだ。
その後、場面は変わり、2050年の移民によって街頭に外国人が溢れかえる東京が映し出される。(ギャラクターが猛威を振るっているわりには建物には一切の損傷がなく、2013年の東京と代わり映えしない事は触れちゃ駄目だよ。邦画なんだから…)
近未来的なパソコンを弄り、町を監視する少年:中西竜の下に大きな荷物を抱えた女性:大月ジュンが走りこんでいる。
竜はジュンに「そんなに買う必要あるの?」と文句を言う。(ギャラクターに襲われて疲れきった人類の前で買い物依存症クラスの買い物をするジュン…)
なんやかんやあって。二人の行為はギャラクターの動向を探る潜入任務だと説明が入るのだが。何が潜入だったのか説明はない。ただ街中で買い物をしたりサラリーマンの格好をしたりしている男女でしか見えない。
街中に突如飛来する巨大な鉄輪のような鉄獣(予告にあるやつ)。回転しながら南部博士が会議を行っているビルに向かって突き進む。それを阻止する為に変身して鉄輪を止めようとするガッチャマンら(鉄輪が最初に現れて茶色いビルをぶっ壊すシーンは糞CGだったが、他はそれなりにまぁまぁなVFXだったよ。マンオブスティールの後に見たから絶賛は無理だけど努力は認められた。)
ガッチャマンとギャラクターとの肉弾戦は、カメラワークが無駄にぶれるし。ズームインとアウトをすばやく繰り返して数年前のアクション映画みたいな、敵を蹴る瞬間だけスローになる。マトリックスから進化していない古臭い戦闘。超人的なチカラを持っているはずのガッチャマンがその超人的なチカラをあまり利用しない闘い方をする。(木々津先生も行っていたけど、身体に武道をしているような柔らかさがない)
ガッチャマンのお陰で鉄輪は止まり、ひと段落。
戦闘中にヨーロッパ支部に行っていたはずのジョージ浅倉が帰還して5人としてガッチャマンが揃う。
鷲尾健とジョージが昔の女の話で盛り上がる。
ジュンの両親はギャラクターの基地で捕虜になっているらしい。
その後、カッツェサイドから亡命を願い出たイリヤ(太った中村獅童)を保護するためにスパイみたいな事をする(潜入方法が出席者の指紋データをハッキングして仲間のモノに変えるってどうなん。2050年の防犯として指紋認証ってどうなん??)
任務中に、恋人をギャラクターに殺されたジョージがガッチャマンらを裏切ってイリヤを殺そうとするが健がジョージを射撃。(オーズで後藤さんがオーズを撃ったシーン思い出した)
病室で治療に入り寝込むジョージ(いやいや、裏切り者だよ)
イリヤは基地の奥深くで電磁ネットに囲まれた檻に入れられるのだった。(何故亡命を認めたし…そして基地に幽閉するかな)
南部博士「この檻ではさすがのお前も出られまい」
簡単に檻を出るイリヤ。(うん、もうちょっと考えようよ)
イリヤの目的は基地にいたカークランド博士だった。カークランド博士を捕まえ悠々と基地の出口に向かうイリヤ
そこに飛び込む病み上がりのジョージ。
イリヤだと思っていたら、ジョージが婚約までしていたナオミでカッツェは変身能力があるとか、カッツェは世襲制だとかペラペラ喋りだすナオミカッツェ。
ナオミとジョージのキス。ジョージの中にウイルスXが入り、ジョージがギャラクター化するが石のチカラでどうにかなる。
ナオミ「ギャラクター同士が手を合わせると、ワープホール(なのはみたいな魔方陣)が出来るの」とジョージと手を合わせてワープホールを作り出してカークランド博士と一緒に逃亡。(竜は縛られていたし甚平は竜を助けていたから良いとして、健とジュンなにしてんだよ!停電したくらいだったら扉壊して駆けつけろよ)
カークランド博士は、神の杖計画みたいな人工衛星からビームを出してギャラクター基地を抹殺する計画を持っていた。そしてその人工衛星を動かす鍵はカークランド博士の生体認証だった。カークランド博士が敵の手に落ちると人工衛星のビームは人類側に向けられる。(その説明を南部博士がした時、オレにハルクなみの怪力があったら座っていた椅子をもぎ取って銀幕にぶつけてやれたのにと、凄く後悔した。なんだそれ? 人類を抹殺できる装置の起動が一人の博士の生体認証って馬鹿か!?)
カークランド博士を奪還しようと決めるガッチャマンら。(いや、人工衛星に核ミサイルでもバードミサイルでも打ち込めよ…)
健が「敵の本拠地は危ないからオレだけ行くわ」と言って、ジュンが「あんた狂っているよ。仲間を信用しろよ」的なことを言ったら、健が「狂っているさ。こんな人生だぜ」的な事を返しているシーンで。(「一番狂っているのは監督だけどな」と笑いがこみ上げてくるオレ)
その後、ジョージが「お前ら残れ、俺だけが行く」とか言い出して。口喧嘩が始まるとそれを見ていた南部博士から「よし、お前らみんなで行け」でみんな行くことに。(お前らダチョウ倶楽部の「じゃあオレが」的なネタかよ)
甚平が「田舎に住む母親の病症が悪いからこの任務終わったらオレ、ガッチャマンやめるわ」とか空気の読めない事を言い出す。(このフラグは回収されずに終わる)(そもそも、石の適合者って数少ないのに止められる訳無いだろ…バイトかよ)
海の真ん中に浮かぶギャラクターの基地にゴッドフェニックスで突っ込むガッチャマン
敵の基地中枢でカークランド博士を見つけたガッチャマンは、人工衛星の目標を人のいない沖合いに設定する。(自爆コマンドや停止コマンドは無い)
ジョージはナオミカッツエと再会、ナオミカッツェはジョージに次期カッツエになってほしいと言い出す。石の光が弱まりギャラクター化するジョージ。
そこに現れる健。ナオミカッツエを倒しジョージとその場を逃げる。(なんでかジョージのギャラクター化は止まる)
人工衛星の最終目的である東京だけ目標を変える事が出来ず、東京に向けてレーザーが発射される事態に!発射まで後10分(アクション映画のお決まりだね)
ジョージ「オレがどうにかするから、お前らは逃げろ」
健「いやいやオレが」
ジュン「健が残るなら私も」
竜「じゃあ・・・僕も」
甚平「俺は…」
ダチョウ倶楽部ネタを始めるガッチャマン。(残り10分だぞ!!!!!!!!!!!!!!!この糞が!)
なんだかんだでみんなでゴッドフェニックスにて人工衛星に突っ込むことを決める。
なぜかギャラクター基地は成層圏まで浮遊していて、敵の基地と人工衛星が上手い具合に近づいていた。(ここら辺は理解不能
人工衛星のレーザー発射口の下にたどり着く敵の基地。
ガッチャマン「これでレーザーが発射されれば人工衛星も敵の基地も壊せる。オレ天才」とか思ったのか。ゴッドフェニックスで逃げだす準備をする。
しかし、ゴッドフェニックスは基地に無理やり突っ込んだ為に抜け出せない。
ジョージ「バードミサイルを低出力で撃てばいけるはず」(ミサイルを低出力って意味が分からないけど、そうゆうもんなんだろ)
ゴッドフェニックスのコンピューター「ソノ作戦ノ成功確率ハ7%デス」
ジョージ&健「意外と高くねッ!?」(ソシャゲ脳か…)
ミサイルの爆発によって基地から抜け出すゴッドフェニックス。
丁度人工衛星のレーザーによって敵の基地も爆発。
爆風を突き抜けて飛ぶゴッドフェニックスは炎を纏った不死鳥のように見える
竜「これが化学忍法火の鳥だ!」(俺「ふざけるなあああああああああああああああああああああああ」)
コックピットで和気藹々と喋るガッチャマン5人の会話でスタッフロールへ。
バンプオブチキンのなんとかが流れる。(一回くらいガッチャマンの歌を流せよ…)
スタッフロール明け。
突然ベッドから飛び起きるジョージ。彼の目にはギャラクターを表す赤い光が灯っていた。(続編フラグ? いい気になんなよ!)



これは俺が覚えている限りだから、健とジョージとナオミの過去や敵の幹部との戦いは書いてないけど、大体こんな感じの話だったよ(敵の幹部にツインテールでピンクのドレスを纏う女幹部がいて、月読調の実写化ってあんな感じかなって冷や汗が出た)
もうガッチャマンとしての形はそのスーツだけ、ストーリーは監督か脚本のオナニー臭いオリジナル脚本だったね。(70年代にアニメ映画化したガッチャマンバンアレン帯の話を下地にやれば良かったのに…アレいい話だぜ)
役者に関しては、特に不満は無かったかな。それなりに頑張っている感はあった。(アニメ版では東北弁を喋る甚平が九州弁になっていて、理由が「東北弁ではかっこ悪いので九州弁に変更した」という話をTVで見て、方言にカッコいいかっこ悪いはなくお前らの演出力の問題だろ。東北民に喧嘩売ってんのかよ。ってむかついたくらい。)後、中村獅童が太っていた。太っていたけど声の渋さが増していてかっこよかった。
VFXは白組が旗を持って、その下にいろいろな製作会社(エヴァのカラーもいた)が作っていて、その迫力は現在の邦画の中ではトップクラスに凄い。(ハリウッドに比べたらアレだけど、それでも凄く頑張って良いものを作ろうとしていた結果はある)
音楽は一般的な感じ。上記したけどガッチャマンといえばあの主題歌が思い浮かぶのに、それを利用しない製作陣は本当にガッチャマンを作りたかったのか疑問に残るね。バンプオブチキンの曲も映画に全然合っていなかったし…。



総括。
マーベルやDC原作の映画が当たっているけど、それを「古いアニメを実写化したから当たった」「古いアニメの実写版は当時アニメを観ていた大勢が映画館に通ってくれる。これは無名の作品を売るよりも楽だ」とか考えていたのなら。お前らその業界引退しろよ…。
「売りたい映画に売りたい歌手の歌を付ける」商法も死んだほうがいい。それが通じた世の中はもう終わったんだよ。

とにかくくそったれな邦画業界が生み出した癌細胞のような作品です。

*1:分かる人からすれば、地雷要素がちゃんと見えるのだが…

*2:放送中のガッチャマン・クラウズもそれくらいしか原作要素ないけどね