15ミニッツ

「犯罪者が大もうけする国さ」


あらすじ:
ニューヨーク市警察の警官エディは、腕利きの刑事でマスコミからも注目の的。TV番組「トップ・ストーリー」は彼に密着してスリリングな映像を取ろうと躍起になっていた。
友達を訊ね米国に入国したエミルとウルグは、頼りにしていた友達に裏切られ衝動的に友達とその彼女を刺殺してしまう。寝タバコによる火事に偽装して部屋を焼き捨てるが。火事現場を捜査した放火捜査員ジョーディとエディによって殺人事件だと判定される。
ジョーディとエディは逃げた犯人を追って捜査を始めるのだが、エミルとウルグはエディを捕まえて殺害シーンをビデオで撮ってトップ・ストーリーに高値で売りつけようと計画する。


感想(ネタバレ):
タイトルはアンディ・ウォーホルの言葉「15分で誰でも有名人になれるだろう」から。

エディを演じるロバート・デ・ニーロが舞台の中心で映画自体を作り上げていく前半は映画として素直に面白い。
エディが殺されてジョーディを演じるエドワード・バーンズが主役に成り代わる後半は確かに尻つぼみ感を感じる。

俺は、エディとジョーディよりも『アメリカン・ドリーム』という看板に釣られて米国に入国したエミルとウルグが、金目当てに友人を頼ってきたら金が無く、友人を殺して人として落ちぶれていく屑っぷりが良かった。
エミルは友人を殺した夜、モーテルのTVで一時的な心神喪失によって無罪になったニュースを見る。無罪なった殺人者が「精神科医が薬を止めたせいだ。俺は人生を滅茶苦茶にされた」とインタビューに答え、自分の伝記や自分をテーマにした映画が発売されることを自慢する。
エミルは笑う「アメリカは天国だ。なにをやっても許される」。
エミルはそのニュースから、映画の後半ではエディを殺した時のビデオテープをトップストーリーに売りつけ、その大金を使って弁護士を雇い、自分は精神異常だと訴え無罪を勝ち取ろうとする。留置所では弁護士に無罪になった後の映画化や書籍化の金について相談する始末である。
結局は仲間のウルグに裏切られて、皮算用を話しているシーンのビデオをマスコミに渡され悪行は終わるのだが。
二重処罰禁止のルールや、視聴率を求めるがゆえに倫理を捨て去るマスコミの現状など現代風刺が効いていてエミルのどうしようもなさが面白かった。
また、エミルが人生を狡猾に生きている事に対して、常にカメラを回し続け、エミルと自分の行動を一本の映画として作り上げようとするウルグも面白い。いかなるときもカメラを回しエミルの凶行を撮影する、時には映像の美を求めようと演出に口を出すウルグ。最後には自分は監督だと言い出すその完璧主義っぷりもずいぶんイカれている。
エディ殺害のシーンが流れるレストランで言い合いになって捕まる二人はかなり間抜けだし、最後の銃殺される二人の凄くダサいけど。(ダイハードみたいだし)
廃墟でジョーディに銃口を向けられるエミル。ジョーディに煽られ銃を握るように仕向けられるが笑って煽りに乗らない。しまいには膝を付き「あんたらアメリカ人は腰抜けだ。ミサイルと金を使わなきゃ人を殺せない」とやじる。(チェコ人という設定が言葉に重みが生んでいる)


ロバート・デニーロとカレル・ローデンを楽しみ、マスコミ風刺を楽しむ映画である。


余談、
エミル役のカレル・ローデンはこれがハリウッドデビューらしいので、そのやる気に溢れた狂人ぷりも実に理解できる。