キャビン

今まで存在したのホラー映画とはちょっと変わったベクトルのホラー映画なので、予告も感想も見ずに見るのが一番面白く感じるはず。


あらすじ:週末を利用して山荘にキャンプに来た若い男女のグループが地下室にあったアレを手にしてしまった為に妙な怪異に次々と襲われる話(あれ在り来たり?!)
をベースに、実は山荘の地下で若い男女をモニタリングして彼らの驚く様子を高笑いして視聴者に提供する謎の組織があった!?(B級かよ)
しかし、その謎の組織の更に地下には謎の遺跡が・・・・・・。って話。

予告編↓


感想(ネタバレ有):
予告編で「定番を破壊するマルチレイヤーホラー」と銘打っているだけあって、死霊のはらわたのような山荘での若者のドンチャン騒ぎが第一層で行われて、それを監視し彼らをホラー映画の定番ともとれる行動に誘導する地下の秘密組織の様子(第二層)が交互に映し出される。
そこが実に斬新というか新鮮である。
第一層が在り来たりのホラー映画であればあるほど、ソレを作り出す為に第二層でのアレやコレやの誘導工作が面白く、モニタリングしながら「アイツに向けて誘惑剤を流せ」や「部屋をロックして個別化を謀れ」なんかは、第一層で繰り広げられる定番ホラーでよくある登場人物の意味不明な行動のネタバレを見ているようで痛快であった。
若者がクリーチャーに襲われる為のキーアイテムが地下室に山のように置かれていて、ドレを選ぶかで襲われるクリーチャーが変わるというのも馬鹿馬鹿しく、ソレで賭けを行う地下組織のスタッフの図が輪を掛けて馬鹿馬鹿しさを増していた。
若者5人はクリーチャーに殺されるとその血が地下深くの遺跡へと流れ生贄としての使命が果たされる。
次々と殺される若者。死ぬはずだった愚者が山荘に来る前に大麻をやっていた事によって地下組織が描いていた物語が破綻していく。
自分達が誰かの手によって演出された舞台で誰かの手によって動かされている事に気づいた若者は地下組織に入り込み、幽閉されていた他のクリーチャーを開放して組織を壊滅させる(ここら辺は、いろんな「コイツどっかで見たぞ」って感じのクリーチャーが暴れまわるので、ホラー映画好きのニヤニヤは止まらないだろう。)
逃げ回る若者は、地下組織の更に地下に眠る遺跡にたどり着く。
そこで遺跡に眠る古き神々を鎮めるの生贄の為に集められたと知る若者。生き残った男の死を以って古き神々は再び眠るが、彼を殺さなかった場合セカイが滅ぶと宣告される。(日本的にいうセカイ系である)
その後は、なんだかんだあって若者は生き残り古き神々の再誕によって終わる。


ぶっちゃけ、予告編で地下組織まで明かされているので、物語の8割は予告編で紹介されている。予告編で「この後の展開は誰も予想できない」と豪語しているが、その後はクリーチャー達の暴走と地下組織の壊滅と古き神々の復活だけなので、そんなに驚きはない。予想の範囲というか風呂敷を畳む作業だけなのでつまらない。
自分はそこにその古き神々のパートが必要だったと思う。地下組織と若者の様子を見つめ人の姿を語らう神々のパートがあれば真のマルチレイヤーホラーだったと。(エヴァのゼーレのようなおっさんらの影が語らうだけのぼんやりとした更なる地下組織の存在)(若者とそれら神が対面するまで行くのはやりすぎかもしれんけど・・・)
または、最期のシーンを大きな神の手がにょきっと出る演出ではなく、荒廃した世界に映るTVモニタが消える演出にすれば、若者と地下組織の世界ですらモニター内の番組の一環で、彼らが言っていた古き神々とは視聴者の事で。その視聴者がいる世界はすでに滅んでいた。っていう展開でも良かったと思う。(ちょっとウザイけど)


それでも、監視社会の恐怖や、愚者が語る「人間達は次に明け渡す時期なんだ」とかは現代批判ぽくて良かった。


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余談。
クリーチャー開放スイッチが暗号無しでボタン一つで簡単に開くのは問題ありすぎるだろ。

余談2。
日本人の女子小学生は除霊が出来る・・・。

余談3。
一角獣「処女以外は殺す」