あるいは裏切りという名の犬

あらすじ:パリ警視庁『探索出動班』(通称:BRI)にて主任警視を勤めていたヴリンクス。荒くれ者の集まりであるBRIチームは警視庁の看板を引っぺがし送別会のプレゼントにしたりとやりたい放題ながら強い絆で結ばれていた。彼らのチームと敵対していたのはヴリンクスの旧友クランが指揮する。強盗鎮圧班(通称:BRB)クランはチーム内に圧力を掛け圧倒的な統治力を見せていた。異なる2つのチームの前に連続強盗事件が発生する。出世を掛けた事件を前に二人の心が淡く強くゆれる。
予告編

感想:
もうね、全体の80%がおっさん。かっこいい渋いおっさんが80%。
予告を見ると、ヴリンクスとクランが凄い仲良しの親友だったみたいに流れるけど映画自体には彼らの仲良しエピソードは薄く、二人が顔を合わせては「どう元気?」「お前こそ」みたいにたどたどしい挨拶を交わすだけなんだけど。それは逆に二人の過去と現状の立場を差が織り成すぎくしゃくさを表現しているみたいで凄くいい。下手な回想とか入らないのがいい。
また、ストーリーも二転三転してみていて飽きないし、サスペンスのような「この後どうなるの?」というワクワクもあり銃撃戦やカーチェイス(さらっとしたもんだけど)などのアクション要素も存在してる。観終わると濃厚な小説を読んだ後のような充実感が溢れてくる。
ヴリンクス役やクラン役のおっさんもかっこいいんだけど。ヴリンクスの部下の坊主頭がヴリンクスを本当に尊敬していて、ヴリンクスとクランが運命の荒波に翻弄される姿をただ見つめ続ける事しか出来ない不甲斐ない演技が凄く好きだったわ。ヴリンクスが居なくなった後なんて捨てられた犬みたいにやさぐれてるの。そんで最後には命を掛けてアレをやるわけよ。
本当に今年は最初から良い映画を掘り当てたので幸先がヨロシイ

原題は「オルフェーヴル河岸36番地」(パリ警視庁の所在地)なのに、それを「あるいは裏切りという名の犬」なんてハヤカワ文庫のようなお洒落でちょっと意味不明な邦題にした配給会社は偉い!良いインパクトが出ていた。

余談。というか不満。
7年後の娘が、どう観ても20代に見えるんだけど、あの幼女は7年間で何があったんだよ!!
もうちょい若い女優をチョイスしてくれ。