やがて復讐という名の雨

あらすじ:事故で娘失い妻を植物人間になってしまった現実から逃げる為に酒に溺れる刑事ルイ。乗ったバスが自宅と逆方向に走っているだけで拳銃をかざして運転手を脅すなどの警官としてあるまじき行為の数々によって彼は捜査の一線から除外されてしまう。しかし、組織を離れ一人孤独に連続殺人事件の真相を追うルイ。
一方、彼が過去に逮捕した凶悪犯が模範囚となり出所が決まる。それを知り被害者の娘は恐怖からルイに相談を持ちかける。


感想:
「神を信じる?」
「えぇ、信じてますよ」
「神なんてクソくらえだ・・・・・・いつかぶっ殺してやる」


あるいは裏切りという名の犬」の監督と主演がまた組んで作ったフレンチフィルムノワール映画。
仕事は出来るが、酒に溺れて自堕落になってしまった刑事ルイが連続殺人事件を追う話を本筋にして、彼が逮捕した凶悪犯が出所するまでの物語と彼の再来を恐れる被害者の娘の物語を織り交ぜて話が進んでいくのだが。映画を観ている時は、その面倒臭いパッチワークのように切り貼りした展開も最後には一つの事件にたどり着くのだと思っていたが。ルイの追う事件と凶悪犯の被害者の娘の話は結局無関係で。ルイという存在だけが二つの事件に共通項目だった。それも凶悪犯と被害者の娘の話は、ルイに最後の選択を追い詰める要素でしか作用していなかったので必要だったのか不明。
というか、冒頭からダメになっているルイを2時間かけてドンドン追い詰めていく展開が観ていてすごく気が重くなる。
見終わった後に「あの時、あーしていればよかったのに」とか「不運だよねぇ」という落ち込むんだけど主人公必死に頑張ったな、と死んでいった主人公を慰められる悲劇は好きなんですけど。この映画の悲劇は、ラストの悲劇を最初に考えて、その悲劇に主人公を導く過程を描いているだけなんで凄く気が滅入るし面白くない。ラストに主人公が自殺しても「そりゃそうなりますよね!というか、ソレ無しじゃこの映画終わらせられないですもんね」と思ってしまい。悲劇に対して驚きや悲しみよりも「予め予定された死」が前面に出すぎている。
実に微妙な映画だった。
ルイが事件を追うだけの映画にした方が面白かったと思う。

やがて復讐という名の雨 [DVD]

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邦題の意味も映画の内容とは乖離しすぎていた。
「雨」も「復讐」もこの映画のテーマにするのはパンチが弱く的外れ感がある。