戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版

あらすじ:投稿された不可解な映像から怪奇現象の謎を究明する為に検証取材を行い、その模様をDVDにして販売しているディレクター工藤、アシスタントディレクター市川、カメラマン田代の三人。今度の取材先は、一度足を踏み入れたら発狂して死んでしまう呪われた村「タタリ村」への突撃取材。劇場版らしく売れないアイドルや気の弱い科学者、縁のある暴言霊能力者などを引き連れてタタリ村に向かうのだが、その村には隠された歴史があり、それは工藤の過去と繋がっていた・・・。


感想:
戦慄怪奇ファイル コワすぎ!は過去にDVDで5作発売されていますので、そちらをご覧になった上で視聴することをおすすめします。1作目から話がうっすらと繋がっています。劇場版では、過去に登場した人物が大勢現れますので。*1

簡単に1作目から5作目までのあらすじ。精神構造がチンピラヤクザなディレクター工藤がDVDを売る為にショッキングな映像を求めるあまりアシスタントディレクター市川をパシリ同然に使い、心霊映像を投稿してくれた一般人も同様にパシリ同然に使い時に暴力を行使して衝撃映像を狙うドキュメンタリー風のホラーDVD。大体工藤の暴走によって事態が悪化して誰か死んだり失踪したりする。工藤は第一作目で手に入れた髪の毛で編まれたミサンガ状の呪具をコブシに巻きつけて幽霊に取り憑かれた人間を殴るという自己流の除霊方法を使って物語を解決させたり悪化させたりする。第5作目でなんだかんだあって呪具は進化する。(シリーズ後半で語られるが、クトゥルフ体系を含んでいる)

劇場版では、シリーズ全体にちりばめられていた小さな謎が一気に集結して一つの大きなストーリーへと昇華している。シリーズの各話で語られる工藤の過去、シリーズ2での夕子と先生、シリーズ3での巨大夕子、シリーズ4の謎空間とタイムスリップ、シリーズ5のお岩さんの謎。それらの謎が適当に明かされたりする。

内容、タタリ村に突入した男女の投稿映像と女性の失踪・男性の自殺未遂から。あの村には何かがあると予感した工藤はシリーズ5で知り合った宇龍院道玄と科学者、売れないアイドル、市川・田代を引き連れてタタリ村に潜入する。人気のない廃村に見えたが随所に置かれた積まれた石の山や棒に刺さった動物の頭など来るものを寄せ付けないようにする気配がはびこっていた。道玄も工藤に警告をするのだが工藤はDVDを売る為に聞く耳を持たない。かくして、彼らは村にたどり着き村に棲まう怪異を呼び出そうとするのだが。彼奴のチカラは道玄の予想を越えていてアイドルは取り憑かれ発狂し、道玄も幻覚を見て森に逃げ出してしまう。道玄を捕まえる為に後を追う工藤と科学者だったがそこには血まみれで立ちすくむ道玄の首がねじれるとポーンと生首になり二人に襲い掛かってきた。どうにかこうにかその場を逃げ出すが、科学者は何者かに操られ消失し、アイドルも後を追うように消える。残った三人は、村の過去を調べ始めるのだった。
村の過去を知る人間に暴行を働き情報を得た三人は、村の下に眠るもの、工藤の過去と対面する。
村の意思を継ぐ為に協力を求める声に、工藤は頭の中にリフレインする「運命に逆らえってな」という声を信じ断固拒否、そして暴力による制裁を加える。
その後、なんだかんだあるけど、もう筆舌しがたい状態。

このシリーズの面白さは、シリーズ1ではドキュメンタリーぽく作られているが、シリーズ2からモキュメンタリーだってみなさん知っていますよね。という前提で嘘を過分に配合している点だと思う。ゆえにシリーズ1はそれほど面白くないが、視聴者に作品を見る姿勢を教えてくれる。「工藤という暴力ディレクターとそれに振り回される市川とカメラマン田代がいる。彼らは投稿映像の検証が仕事、工藤は衝撃映像の為ならなんだってやる」この肝をシリーズ1では伝え、シリーズ2では、そこから飛躍する。彼らは投稿映像を検証を行うにつれて、UFOや謎の男”先生”、怪現象と出会っていく。物語がドキュメンタリーからSFにシフトしていくのだ。その結果、シリーズ2では先生がスカイタワー前で消失するという衝撃映像をカメラに収めることに成功する。そこからシリーズの方向性がはっきりと決まり、シリーズ3では河童を捕獲する為に陰陽道を使う農夫と組んで河童と相撲をとるという展開に持っていく。もうSFですらない。シリーズ4ではタイムスリップ。シリーズ5では旧神の復活を阻止。とSFというよりも少年漫画のノリになっていく。もはやドキュメンタリーの体は大体の映像は田代が撮影しているという点のみになってしまう。
そこに心霊でも人間でも暴力で対抗しようとする、シリーズを重ねるごとに肝が据わってケバくなっていく市川という濃厚なキャラクター、一癖のあるゲストキャラが加わり物語をかき回していく。
ドキュメンタリーではありえない先の読めない展開こそがこのシリーズのミソであろう。
劇場版でもその先の読めない展開は炸裂し、ラストのオチでは誰もが驚嘆するだろう(いい意味でも悪い意味でも)


余談1
劇場版では、邦画お得意の恋愛要素を入れ込んでいくかと思ったが、そんな事無かったぜ!

余談2
結局あの選択は「運命に逆らった」のだろうか・・・。

余談3
ニコ生放送では工藤・市川・田代の三人がコメントで参加してくれたけど、工藤・市川の二人があんな場所からユーザーの1000円によって召還されていたという事実が一番驚いた。

余談4
個人的にシリーズ4の花子さんが一番好きです。
いろんな作家がタイムトラベルの方法を考えていて、タイムトラベル出来る理由を、機械だったり超能力だったり魔法だったり脳手術だったりいろいろ案を出していているのに、「俺、本で読んだんだけどこの先生、こうゆう場所じゃタイムスリップ出来るんだよ」という一言でタイムスリップ出来る理由を説明した作品はコレくらいだよ。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!  史上最恐の劇場版 [DVD]

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*1:現在、ニコニコ動画で過去のシリーズを有料配信しておりますのでそちらをご利用になった方がTSUTAYA巡りをするより楽です