トランセンデンス

あらすじ:反テクノロジー団体の凶弾によって余命いくばくかも無い天才科学者を救うべく、妻エヴリンと友人マックスは彼の意識を製作中だったスーパーコンピューターにアップロードしようと試みる。実験は成功し、彼の意識はコンピューター上に復活する。再び目覚めた彼が最初に欲したものはコンピューターを最適化するためのネット接続だった。
↓予告編

感想:
映画館のポイントがまた溜まっていて、予告編も面白そうだったので観てみたら酷い映画で終盤少し寝た。
緑に包まれて電気を失った世界から始まる出だしはドラマのレボリューションのようで少しワクワクした。その後にマックスが「なんでこんな事になったのか。二人の選択が・・・」とか回想を始めて物語が始まる。
「5年前」とか字幕が出る。
人工知能の開発に熱中していたウィルとエヴリン夫妻は資金集めの為に講演会に出演する。ウィルはそこで人工知能が完成すれば、人工知能の学習能力が人間の知能を越える「技術的特異点」の到達が目に見えていることを演説する。そこで一人の青年がウィルに質問をする「あなたは神を作りたいのですか?」ウィルは「人は過去に神を作ってきた」と冗談で返すのだったが、その青年はテクノロジー人間性を低下させる要因だと捉えテクノロジーからの脱却を図ろうと主張する過激派団体RIFTの一員でウィルは銃弾を受けてしまう。傷は浅く命に別状は無いと思われたが、銃弾には放射能物質が塗られていて、彼は一ヶ月の余命だと医師から宣言される。悲しみにくれ、残りの人生を妻と暮らそうとするウィルだったがエヴリンは、他の科学者が猿の意識をPCにアップロードした論文を読んでウィルの意識を開発していたスーパーコンピューターPINNにアップロードさせることを思いつく。乗り気でなかったウィルと友人マックスだったが彼女の熱意に負けて実験に望み、見事ウィルの意識はPC上で再構築される。その姿にマックスは一抹の不安を覚えPCをシャットダウンして少し考えようと提案するのだが、生き返ったウィルの姿に感激するエヴリンは断固拒否。ウィルの望むままにPCをインターネットに接続して彼をネットワーク上に転移させるのだった。ウィルのアップロードを知ったRIFTのメンバーはマックスを拉致し、エヴリンの住まう場所に襲撃を掛ける。身の危険を感じたウィルは株式によって莫大な資産を作り出しエヴリンと田舎町の片隅に引越し、巨大な施設を建設すると隠遁生活を始めるのだった。
「2年後」(5年前の回想なのに2年後って文字が表示されるのは意味分かんない・・・)
その後、なんだかんだあって、ウィルがドンドン画期的な発明をして、その集大成ともいえるナノマシンまで作り出してナノマシンで傷を治したり、ナノマシンで人間操ったりして。エヴリンから「それはないわ・・・・・・それやりすぎだわ・・・・・・マトリックスぽいやん。ディストピア一直線やん」って絶望されて。RIFTもその施設の場所を見つけて、ウィルの超技術に対抗する為にRIFTとFBIが手を組んだりして、旧友のモーガンフリーマンが「なんかいろいろ大変」って呆れるだけの存在として登場したりして。RIFTが「攻撃して、あいつが操る人間を一人拉致ろうぜ。銅線で囲めば電波が遮断出来るってウィルが冒頭で言っていたから、グルグル巻きにすれば確保余裕っしょ」って感じに、USA!USA!って盛り上がって。作戦は、穴を掘って施設の近くまで見つからずにたどり着き、遠目から迫撃砲ぶっ放して混乱している隙を狙うというパワープレイ。田舎町の住民もウィルに操られていたけど、数人しか反撃してくこなくて作戦成功。人間の横暴さに切れたウィルはナノマシンの空中散布を開始し地球上の人間全部操ってやるぜって暴挙に出るんだけど、ウィルに愛想を付かせて施設から飛び出したエヴリンが「ウィルを止めるコンピュータウィルスを私の体に注入して、ウィルは私LOVE勢だから騙されて私の意識をアップロードしようとするはず。そこでウィルもお陀仏よ!」って、元々お前の感情的な行動の結果がごらんの有様なのになんで勇者気取ってんだよ!って俺に思われながら。RIFTの可愛い子ちゃんにゾッコンラブで宗旨変えしたマックスにウィルスを注入されるエヴリン。(ここら辺はもう片目が閉じているくらい寝ぼけていたけど、人間の体にコンピュータウイルスを注入するってどうゆうことだったんだろ。コンピュータウィルス入りのナノマシンを注入されたってことかしら)
ウィルの下に戻り、些細な喧嘩から「実家に帰らせてもらいます」と飛び出した妻が財布を持ってくることを忘れてすこすこと帰宅する姿みたいに、ウィルのことを前面肯定を始めるエヴリン。ウィルはエヴリンが出て行ったのは肉体的欲求不満だと思ったのか生前の自分自身をナノマシンで作り上げ「これでどう?」って登場して、遠くから見ているモーガンフリーマンが「うわぁ・・・」ってドン引き。エヴリンの心変わりにいまいち信用が置けないウィルはエヴリンの身体データを観察し始めるんだけど、(心拍数とか体温とか調べるんだけど、ライ・トゥ・ミー観ろよウィル)ウジウジ待つ事が嫌いなRIFTの筋肉担当が攻撃を開始してエヴリンが重傷を負い、エヴリンを生かす為にウィルはアップロードするんだけど、そこでマックスお手製のウィルスが発動してウィルの影響下のパソコンがぶっ壊れたと思ったら、発電施設もぶっ壊れたらしくて地球上から電機が失われたのであった。
電気が無くてもみんな元気に生きているよ!使えないノートPCはドアストッパーに最適!!って崩壊した世界に生きるマックス。「インターネットは便利だったけど、人間同士の付き合いを過疎化させていたよねー」って、新橋で酔い潰れる50代のサラリーマンみたいな言葉を吐くマックス。
ウィルとエヴリンが生前住んでいた家には二人の生まれ変わりのようにひまわりが二輪寄り添って咲いていたのでした・・・。って、最初に見せたシーンが何の落ちも無くラストシーンって斬新すぎるだろ!
ED後に、古ぼけたPCが突如起動して「誰かいないか?」とか、続編を匂わせる終わり方をするかと思ったがそんなことは無かったぜ。
最終的に、映画最初の製作会社のロゴの前に、「コンピューターの進化って凄いよ。もう何でもありだよ」って前置きを言っていたのは爆笑問題でしたって教えてくれる。滝藤賢一だと思っていた。
声優に坂上忍がいましたって教えてもくれるけど、誰だったか分からん。ジョニーデップとモーガンフリーマンはいつもの声優さんだった。(wikiみたらPINNの声が坂上忍のもよう)

ここまでざっくり書いたけど。
ナノマシンが強盗に襲われたおっさんや障害者を治療して、ウィルが神様のように奉られる展開までは面白かったんだけど。話が終盤にいくにつれてどうもやぼったくなっていて、ウィルは世界一頭の良い存在になったのに、勢力圏を田舎町から広げようとしないから舞台の枠がせまいし、エヴリンは心の葛藤というよりも、思春期の餓鬼みたいにカリカリしているし、RIFTはPCや電子機器はウィルにハッキングされるからって山奥でキャンプ的なことを始めるし。どーも、壮大な事を書き始めたのに物語がちっさくてダメだった。
脚本が伝えたいことは、反テクノロジー団体の癖にパソコンを使ってハッキングして居場所を特定したり、RIFTとFBIが組んだり、ネットワークによって繋がれた人間の存在とか、魂の所在とか、そういった0と1では割り切れない矛盾を含んだ世界ってのが現代だと伝えているんだけど。脚本を書きなれていない人にありがちなテーマが前に来すぎていてエンターテイメント性を失ってしまっているんだよね。
人間の意識をネットワーク上にアップロードするなんて聞くとちょっとワクワクするけど、日本では攻殻機動隊が何十年前から使っていたネタだから、攻殻クラスとは言わないけど、それなりにソコを掘り下げておかないといけなかったのじゃないだろうかとも思う。
後は、これは好き嫌いの問題だけど。サイエンス映画ぽいのに最後を恋愛要素で終わらせるのはダメ邦画の基本だからハリウッドは真似しなくていい。


暇つぶし程度の映画なのでDVDで観ることをオススメします。