劇場版SPEC 〜結(クローズ)〜爻(コウ)ノ篇

あらすじ:シンプルプランに感染した当麻であったが、それはただのインフルエンザウィルスだと検査され周囲は一応の安堵を見せる。が、腑に落ちない当麻。プロフェッサーJの真の正体を探り当てるが、時すでに遅し彼がSPECホルダーの虐殺を終えた後であった。凄惨な現場を見た当麻はシンプルプラン計画を生み出した秘密結社への怒りを募らせるのだった。
しかし、それはセカイの思惑の一部で・・・。


感想:
うーん、漸ノ篇は当麻と瀬文が走り回って、銃撃戦もあったりして、野々村が死んだりして。超能力者VS刑事という図が残っていたんだけど。爻ノ篇は掛け値なしで見る価値が無かった。シナリオも酷いが中盤からのCG連発にはあきれ返るくらいつまらない。見栄えもしないし。これをTVシリーズから続けてきた作品の集大成とするならば、お世辞なしでファンは幻滅するだろう。
個人的には、一般人である(当麻は違うが)刑事が己の信念と法に基づいて、知恵を絞り犯罪を犯す超能力者と戦うTVシリーズが面白かったので。一般人が世界を牛耳る秘密結社や世界(セカイ)なんかと戦う話を求めていなかった。超能力者という特異なモノがある世界なのに、ただの刑事がそんな大きすぎるモノと戦うのはなんだか凄くナンセンスに覚えた。いや萎えた。刑事が秘密結社と戦って世界を救う話なんて古今東西たくさんあるし、その中にはSF要素の入った話もあるけど。SPECって元はそうゆう話ではなかったでしょ。特にこの作品は、今まで定番であった話の流れ「変な事件が起きる」「捜査に乗り出す」「敵のスペックホルダーに出会う」「謎を解く」「戦う」という流れすら存在せず。スペックホルダーの死から当麻が切れて天変地異が起き始めてなんやかんや言い合いがあってボス撃破って爽快感無さすぎ。どんな超能力バトルがあっても、瀬文が馬鹿根性で挑む姿が作品の唯一の根の張った所だったのに、その瀬文も早々に退場して美味しいところで戻ってくるだけの存在に成り下がっていたのもマイナスだったなー。停止して立っているだけでもいいからその場に存在するべきだった。あとは仲間のSPECホルダーが集合したシーン。翔でもそんなシーンがあったけど、翔ではサトリや冷泉の能力を凄くうまく使って戦っていて漫画やアニメぽい良い意味で王道展開に盛り上がったんだけど。今回は仲間が増えて登場したのに、能力を使って戦うのではなく「答え合わせ」になっていたのが萎えた。戦うといえば、相手が霊体だから意味が無いかもしれんが。最後の劇場版なんだから戦闘シーンにももうちょい力を入れろよ。無理言って格闘シーンとか絡めて欲しかったなー。屋上で台詞回しするだけって地味すぎるだろ。地味を隠す為にCGをもっさり入れるとか邦画のくそな部分すぎるだろ。
オチもどっかで見たようなありきたりな展開でつまらなかったよ。命を引き換えに世界を守った主人公がヒロインに認識されて実現するって何十年前のSFアニメだよ。

なんか00年代の第二のエヴァを狙ったアニメの脚本をそのまま流用したような雰囲気だったなー。


余談1
前後編になると決めたら、その前後合わせた三時間を丁寧に半分にして上映しなくてもいいやで。「最初は3時間だったけど、前後編にすると決まったので前編2時間。後編2時間半に変更しました」ぐらいの気迫をみせろ。
そもそも、三時間掛かる映画なんてこの世にたくさんあるんだから分割するな。

余談2.
堤監督の奇を狙った急なギャグという演出ももう限界だな。くっそ寒い。盛り上がっているところでソレやられるとテンション下がるし、ギャグも最近の親父でも使わないようなしょうもないレベルだし。

余談3.
「俺たちが先人類だったんだ。後から来たお前ら死ね!」って大塚英志北神伝綺の山人かと思ったぜ。

余談4.
ハリウッド映画が頭上にある限り、日本人が邦画を見て「CG凄い!」って喜ぶことは無いんだから、邦画はいい加減「俺のCG凄いでしょ自慢」から脱却してください。シナリオ練れ。低予算邦画の「金が無かったからこの安いCGでごまかします」は有りです。それは苦肉の策だし面白いから。

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