スノーピアサー

あらすじ:温暖化を防ぐ為に世界に散布された科学物質によって雪と氷に覆われた惑星と化してしまった近未来の地球。生き残った人間は地球上を走り続ける列車スノーピアサーの中で暮らしていた。列車内部では、前部車両に住む富裕層と列車を作ったウィルフォードが後部車両で乞食同然の暮らしをする貧困層を支配する格差社会と成っていた。貧困層に住むカーティスは彼らの暴虐な支配に立ち向かう為、仲間と反乱を計画する。
↓予告編


感想:
『撮影が殆ど列車の車内セットなので「どうせ低予算映画だろ」とあまり期待しないで観たら予想以上にぶっ飛ぶところはぶっ飛び、決める所は適度に決めている面白い映画であった。(後で知ったがグエルムの監督の最新作なのね)』


貧困層で暮らすカーティス達は風呂も満足な食事も無い酷い環境で定期的に富裕層に子供を攫われる劣悪な生活を送っていた。ある日、兵士の持つ銃の弾薬が尽きていることに気づいたカーティスは仲間を連れて一揆を企てる。カーティスの予想通りに弾の出ない銃を振り回す兵士を数で圧倒し、最先端のエンジンルームを目指し邁進していくカーティスら。
一つの車両を開放するごとに彼らには、自分たちの知らなかった真実を目の当たりにしていく。
序盤に出てくる富裕層代表の演説おばさんが「これはなんですか?これは混沌の象徴です」「靴は頭に乗せるものではない」と延々とうざったい演説をかます姿は実に憎たらしくて良い味出していたね。その後も出番多くて、最後はどうなるんだろうって思ったらあっさり死んだけど。
兵士との全面戦争に入ってここから血で血を洗うアクションシーンか? と思わせての新年の挨拶には、肩透かしを食らったがそれを承諾して飲み込んでこそこの映画を見る正しいポジションを理解できると思う。真面目じゃダメなんだと。
中盤のトンネルでの戦いで機転を利かせるカーティスと伝言ゲームの先で聖火ランナーのように登場する子供は、本当に燃えた。腕を失ってからテンションと機動力が上がったナイフ投げおっさんの無双も良かったわ。兵士達はあの狭さなら最初から斧ではなく槍を使えよ。
その後、海洋ブロックで寿司食ったり野菜ブロックで野菜かじったりと列車が想像している以上の大きさだと伝える描写があり学校ブロックですよ。教師も子供も古き良きアメリカって感じでバイオショックを連想させるアレ。陽気な音楽にあわせてヘンテコな歌を歌って、流れてくる映像を素直に賞賛する。(見る分にも)どーしよーもない感じ。
このまま変態列車旅行記になるのかと思ったら、突如銃撃戦が始まり「やっぱりあったのか弾丸」とワクワクしたら教師はあっさり負けてカーティスはサブマシンガンをゲットして強化。
ホモっぽい警備主任みたいな人との戦いや進むごとに廃退的になる車両。
ウィルフォードのいるエンジンルーム前にたどり着くと、カーティスが自分の過去をポツポツとしゃべりだすんだけど。それはもう悲惨。途中で貧困層の中で物知り長老の役割をしていたギリアムに「俺は両腕があるからリーダーなんて無理だ」と言っていたカーティスの真意がビビっときて驚いた。その時は、反逆すると罰として腕を凍結されて切り落とされるから「両腕がある」ってのことは、「一度も反逆せずに今まで生きてきてしまった」っていう自責かと思ったら。飢餓の時に腕を差し出すことが出来なかったという後悔だったのね。
扉が開いた先に待つウィルフォードは完璧に魔界塔士 Sa・Gaの「かみ」でしたわ。
18年間も列車を走らせていたら暇だし、人口が勝手に増えるから、そいつらの処理と暇つぶしにお前らに革命をおこさせてやった。トンネルの戦いで全滅する予定だったのにお前らが知恵を使って勝利するとは・・・。ってチェーンソーでバラバラにしたいタイプ。
カーティスの頭の良さと度胸を買ってウィルフォードは自分の席を譲ると言い出し、心がぐわんぐわんするカーティス。なっちゃおうかなーって思ったら、ヨナが壊れた部品の代わりに連れ去られた子供を使っていることを見抜き激昂するカーティス。そうだ母親と約束しただろ忘れんなカーティス。ウィルフォードをぼっこぼこにしたカーティスは腕を犠牲に子供を助け出す。
ナムグンが列車を爆破させヨナと一緒に白銀の世界に逃げ出す。気温が上昇しているらしいから頑張って外で生きるんだと。


最終的にナムグンとヨナだけ助かるってのはどーなんって気もしなくも無いけど。
最後まで勢いがあるので2時間という上映時間を苦に感じることなく見ることが出来る映画であった。
いろいろ突っ込むシーンや「これどうなん?」って描写はあるけど、あんまり気にしないで観ることをオススメする。
そんなに悪くないよ。すこしグロいけど。


余談1.
ナムグルとヨナってグエルムのあの二人だったのね。道理で見覚えがあったはずだ。

余談2.
ヨナの透視能力が作品上浮いていたので、「凄く耳の良い娘」くらいの設定にして「扉の向こうで大勢の足音が聞こえる」とか言わせれば良かったのに。


スノーピアサー [DVD]

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