プロジェクトX

あらすじ:冴えない高校生のトーマスは、親が旅行で家にいない隙を狙って友達と誕生パーティーを開こうと企画する。酒を飲んだり女の子と仲良くなったりムフフなことを想像して、出来るだけパーティー参加者を増やそうと手当たり次第にメールを送信したり、学校の電光掲示板に勝手にパーティーの情報を流したり、スーパーで知り合ったスポーツ選手に参加を求めたりと出来る限りの策を練ってその日に望んだのだが、彼らの予想に反して
情報が拡散され来場者はドンドン増えていき・・・。


感想:
出だしは田口トモロヲのナレーションと中島みゆきの歌で始まる(嘘)。

ハングイーバーのトッド・フィリップが製作したハングオーバーのパーティーシーンを1時間にしたような兎に角、日頃の悩みや妬み、明日の予定なんかが詰まった脳みそをキッチンの食器棚に突っ込んでビール片手に横に座った美女のビーチクでも弄りながら観るべき映画。それくらいどうしようもうない映画。
プロジェクトX」とは偉大な誕生パーティーをしようと企画した作戦名である。

集まりすぎた客が、暴徒と化して主人公の家に我が物顔で踏み込んだり物をぶっ壊し始めたりする辺りで、基本気の弱い主人公が右往左往して問題を沈静化させていくんだけど。続々と増え続けて収拾の付かない暴徒と盗んだサンタの像から見つけたエクスタシーを飲んだ辺りで主人公の思考が吹っ飛んで、上空を遊泳する報道ヘリに中指立てて「これが俺のパーティーだ!」と屋根から飛び降りるシーンで完璧にその世界が狂い上がっていた。
そこに盗まれたサンタ像を取り返そうと火炎放射器を装備したおっさんが現れて周囲の住宅を含めて手当たり次第に火を付け車は爆破され、パパの愛車はプールに落とされ本当に酷い終わり方を迎える。
旅から帰ってきた父親は、半壊した家の姿を見て途方に暮れ、家の修繕費の話を息子に刻々と話すのだが。最後に「でも、お前がこんな凄い事を出来る奴とは思わなかったぜ。クールじゃん」と何故か息子を褒めるシーンには、あーアメリカ映画っすねぇーと私はしみじみ実感した。日本なら父親が自殺か他殺している。
燃えカスと化した車で学校に行くと、今まで空気のような扱いだった主人公が学校のヒーローのような扱いにされみんなからチヤホヤされるのだった。
「俺たちのプロジェクトXは成功した」ってそれでいいのか。
いや、監督的にソレでいいのだ。


余談。
彼女ぽい女の子とパーティー中にいろいろあったのが青春ムービーぽかったですね。

余談2.
主人公の友達の口の達者なアイツも相当イカれていたけど。苦情を言いに来た近所のおっさんに背後からスタンガンを浴びせる警備員の二人も終始どうかしている行動だったな。

プロジェクトX [Blu-ray]

プロジェクトX [Blu-ray]

グランド・イリュージョン

あらすじ:ダニエル・アトラスら4人の男女で構成されたマジシャンチーム“フォー・ホースメン”がラスベガスでショーを行うのと同時にパリの銀行から金を盗み出すという大技を行う。 FBI特別捜査官のディラン・ローズとインターポールが彼らの犯罪を阻止しようとするが、失敗して途方に暮れ、マジックの種明かしの名手サディアスに助けを求める。(wikipedia
↓予告編


感想:
予告編ではベガスからパリの銀行を襲ってお金を盗むイリュージョンを大々的に映していて、そこから物語が始まるのだと思っていたら、そのシーンに行くまでに20分くらい掛かり、その20分間何を上映していたのかと言えば主人公らホースメンの結成までの物語という序盤からツカミが悪い作品であった。(ビルにトランプを出すのは良かった)最初からベガスのイリュージョンを始めて、警察に捕まった所で回想を入れて「俺たちフォー・ホースメンの結成は・・・」とかやっていれば20分間にも暇は無かったと思う。その後は銭型警部みたいなデュラン・ローズとインターポールから派遣されてきたアルマ・ドレイとマジシャンのネタあかしで金を稼ぐサディアス・ブラッドリーとの攻防(攻防というよりもイリュージョンを見せられて、モーガンフリーマンがドヤ顔で解説を繰り返すって感じだったけど)
フォー・ホースメンの真の目的は何か?って感じに話が進むんだけど。
主人公ら4人のキャラクターの紹介が少ないので、彼らの魅力が観客に伝わりきる前に終わってしまった感が多い。
あと、クライム映画お決まりに警察の警備から捜査まで雑すぎる。
つまらない作品じゃないんだけど、凄く惜しい作品。マジックと犯罪って面白く出来る要素が揃っているのに主人公らの人間性が伝わってないのが残念。

余談。
催眠術がチート過ぎるので、そこを抑え目に。
なにが「屈強な警備員も催眠術に掛かればイチコロだ」だよ。そんなのずるいよ・・・。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

あらすじ:アベンジャーズから2年後、キャプテンアメリカことスティーブ・ロジャース諜報機関S.H.I.E.L.D.の下で現代社会に適応しながら体を鍛えていた。そこに海賊に占拠されたS.H.I.E.L.D.の船から船員を救い出す任務が舞い込む。S.H.I.E.L.D.のストライクチームとブラック・ウィドウを引き連れ船内に潜り込むのだが。ブラックウィドウは単独で別の任務を遂行しようと動き出す。自分の知らない所で何かが動き出していることを予感したキャプテンアメリカはS.H.I.E.L.D.長官ニック・フューリーに不信を抱く。ニック・フューリーもまたS.H.I.E.L.D.の内部で動き出したある計画に疑問を持ち始める。
予告編


感想:
前作の「キャプテンアメリカ:ファーストアベンジャー」はキャプテンアメリカの誕生譚として製作しており、舞台の9割が第二次世界大戦アメリカであり時代背景を色濃く反映され、現代が舞台の他のマーベル映画とは一味違う代物となっていた。また、キャプテンアメリカはアイアンマンやソーのようなビームや雷撃を飛ばすキャラではないので、戦い方も地に足をつけた格闘術と盾のスローイングと少々地味な印象を前作では持ってしまったが、今作では超人であることをアピールするその格闘術と身体能力に磨きがかかっており兎に角動く。戦闘も凄いが、「どんだけ窓ガラス割るんだよ」ってくらい走っては窓ガラスに飛び込んでいく。ストーリーの規模も大きくアクション映画のような馬鹿馬鹿しさと勢いのある良いシナリオで構成され、脇を固めるブラック・ウィドウやフューリー長官の演技やアクションも見ごたえがあった。特に見ごたえがあったのがサブタイトルにもなっている敵役のウィンターソルジャーの銃火器と金属製の片腕を併用した戦闘はじつに素晴らしかった。前作に登場した存在も登場するので前作を見てからの視聴を推奨するけど、それほど大体劇中に説明が入るから見なくても楽しめるように出来ている。


今までのマーベル映画は、大体が主人公の因縁によって敵が生まれその敵と主人公が戦うことが大筋であったことに対して、この映画は、怪しい動きを始めたシールドに対してキャプテンアメリカらが立ち向かう、個人対組織の図を作っていて往年のアクション映画のような大勢の敵に対して主人公が主人公という設定を駆使して無双するシーンが数多く登場し見るものに爽快感を与えてくれる。(一応程度にキャプテンアメリカはこんがらがった善悪に対して苦悩するんだけど、物語の展開が速いからすぐに決断する)
ブラック・ウィドウも堅物なキャプテンアメリカのサポートをうまくしており、二人の掛け合いは見るものを飽きさせずに次の展開に運んでくれる。秘密道具もたくさん出る。ルパン三世かってくらいに。
新キャラのファルコンもその全貌が登場するのは後半だけど、その戦い方は地に足をつけたヒーローばかりが登場する今作においてよいアクセントととして活躍していると思う。(アイアンマンポジション的で)


今回のキャプテンアメリカは前作のような泥臭いさが一切無くアクションだけ見ているだけでもそれなりに満足できてしまう仕上がりになっている。
面白かった。



余談1。
2時間弱あったけど、物語が詰め込みすぎていて終盤のサイコパスみたいな「悪人になりそうな奴を先に殺す装置」の登場とか説明についていけなくなってしまった。

余談2.
アメコミ特有の「人気のあるキャラは劇中に死んでも必ず生き返る」というルールを知らない方が楽しめるよね。

余談3.
いくら2000万人が殺される危機だからってワシントンDCの上空でヘリキャリア3機を落すキャプテンアメリカには唖然としたぜ・・・。

余談4.
クイックシルバーじゃね?と思ったらクイックシルバーだった。

地獄でなぜ悪い

あらすじ:刑務所から出所する妻の為に娘を主演にした映画を撮りたいヤクザと映画を撮りたい青年とヤクザの娘に恋焦がれる青年がふとした事で出会い、スタッフ・キャスト全てヤクザの敵対する池上組へのカチコミをテーマにした映画制作を始める。
予告

『神の啓示を受けたと思い、夢と現実を混同する者を“妄信者”といい、錯乱のあまり殺人を呼び起こす者を“狂信者”という。(フランスの哲学者「ヴォルテール」の言葉)』


感想:

「そうだよ、戯言こそがもっとも神聖なんだ。ホーリータワゴトー!」

「いかん、圧倒的に萎縮している。どこが違う。そうか!俺たちはリアリズム、奴らはファンタスティック!リアリズムじゃ負ける!!画面の向こうだと…負ける」

半年位前に「ブラック企業で働くのが嫌なら辞めればいい」という持論を掲げて踊り狂う人を見かけて、その意見に「そうだそうだ」と同意する人もいれば、「現実はそんなに簡単なことじゃないんだよ。再就職とか大変だし」と反論を唱える人もいてなんかザワついていた。この映画を見てその事を思い出し、超過酷激務をこなすブラック企業で働く人達が何故辞めないのかって問題に、「その地獄はその人にとっては楽しい地獄なんじゃないのか」とふと思った。ブラックジョークとして言えば、「死ぬほど楽しい地獄だから辞めない」。劇中で映画監督を夢見る平田が「良い映画が撮れれば俺は死んだっていい」と願いながら生きていて、その願いが神に届いたのか悪魔に見つかったのかヤクザのカチコミを撮影する機会に恵まる。その瞬間の平田の麻薬でもやったかのようなテンションの上がりっぷり。人は自他ともに認められたポジションに立つ時の安心感は過去も未来も捨て去ってしまうのだと思う。

今作も園子温の実体験がベースになっている映画だった。
「昔、付き合った女にある日喫茶店に呼ばれて出向いたら「私を犯したよね?私のお父さんが○○組の組長だって知ってる?」と質問され、「それは付き合っていた時の事だから和姦だろ・・・。それに組長って」とジョークだと笑い飛ばそうとしたら喫茶店の周りを柄の悪い黒服のおっさんに囲まれていて。これは本物だと元カノに言われるがまま組の事務所があるビルに付いていったら事務所に入るなりパイプ椅子に座らされ、ヤクザに囲まれている中で組長に「俺の娘をレイプしたんか?」と問われ。当時の園監督は脳内で現実では和姦だからレイプしていないけど、どうせNOと言っても殺されるのだからいっそYESと言ってしまえと。「犯しました!すいませんでした」と土下座をしたら、監督の発言に動揺する娘の顔に気づいた組長が娘に「お前嘘ついたんじゃねーだろな!」って娘の嘘を見抜き。どうにか一命を取り留めたって話と、昔、「東京ガガガ」という路上パフォーマンス集団に属して、公園で映画撮影をしていたら餓鬼に絡まれた話と、平田の「俺はたった一本の名作が作りたいだけなんだ。この世界にはくだらない映画監督がゴマンといる。何本も何本もくだらない映画ばかり作って家を建てている馬鹿、どうでもいい映画を作って金を貰う馬鹿。俺はそんなのは嫌だ。たった一本の映画でその名を刻む伝説の男になりたいんだ」という台詞はたぶん園監督の生涯の本音だろう。

ここからストーリーの感想、
園監督作品が大衆に受け入れられる現実なんて存在しないので、世界の感想はいつも通りに「俺は大好き」と「糞みたいな映画」の二分化した。
俺は好きな方の映画だった。
平田やファックボンバーズの映画の神への現実逃避とも取れる妄信ぷりや、ミツコに恋焦がれる池上や橋本も、妻の夢の為に映画撮影に乗り出す武藤や武藤組の連中。みんな愛のために頭の螺子が飛んでいてイカした奴らであった。(馬鹿ばっか)
特に面白かったのは、映画の神様からの啓示を待つ平田が橋本からオファーされる所から始まる。物語の加速である。映画への愛を語るファックボンバーズと出所する妻の為に映画を撮りたい武藤組、ミツコから愛されたい橋本と池上。その三様が絡み合い映画制作に進むそのテンポの良さが実に気持ちよい。その撮影までの気持ちよさと何か大きなことの始まりを予感されるワクワク感は至高だった。ゆえにその後の血の池地獄をイメージさせる抗争シーンではちょっとテンションが下がる程度に面白かった。
抗争シーンではマネキンみたいな腕や頭が飛び、吹き出る血液がCGのように()綺麗に飛び散る、池上の言葉通りな「ファンタスティック」な映像の数々。監督の悪ふざけが悪趣味を一回転して不細工な芸術へと昇華していた。
そして撮影を終えたフィルムを回収して最上級の笑顔で疾走する平田。
その後の素晴らしい栄光を妄想する平田。
カットの声とともに画面から消える平田。
観客は置いてけぼりにされ、星野源が歌う「地獄でなぜ悪い」をBGMにスタッフロールの流れる中、各々が目の前で繰り広げられたリアリティのないファンタスティックな映像を思い出し星野源からの「無駄だ ここは元から楽しい地獄だ 生まれ落ちた時から 出口はないんだ」と「作り物で悪いか」と「ただ地獄を進む者が 悲しい記憶に勝つ」諭されて現実に戻される。

最高の悪ふざけ映画だった。
園子温作品だからオススメはしない!が、最高のくだらない映画だった。
映画館で見ればよかったなー。

ウルヴァリン: SAMURAI

あらすじ:X−MEN3の後、恋人を失い傷心に駆られて山で静かに暮らすローガンの元に、第二次世界大戦時に命を救った矢志田の使者が現れる。死期が近い矢志田に別れの挨拶をすべくローガンは日本に飛ぶ。
そこでローガンは矢志田から不死の能力を解除出来ると誘われるのだが・・・。

予告編

感想:
アメリカが描く日本が日本らしくないのは、「日本という国はアメリカと違ってオリエンタルで特殊な場所」という先入観から、日本の実像からアメリカらしさを抜きすぎている点だと分かる。現在の日本に日本独自のものは数多く存在するが、それは単独に存在する物ではなく、西洋やアジアと混ざり合って存在しているってことに気づかないと日本は描けないんじゃ・・・。忍殺みたいにぶっ飛べば日本人も笑って見れるんだけど。
まぁ、日本の為に作った映画じゃないからどうでもいいか。本当に日本らしくなったら地味だし。


まず率直な感想を言うと。ウルヴァリンは不死でオラオラプレイしている時が一番輝いているので、抑制装置によって不死を失ったウルヴァリンは鉄の爪の生えるおっさんでしかなく魅力が半減していた。メンタルボロボロだし・・。(それゆえに終盤はイケてた)
後は、ミュータントの登場が少ない。予知能力者のユキオの必要性とはなんだったのか。ニンジャ集団の方が強そうだった。ニンジャ強い。無駄に側転するツヨイ・・。ヴァイパー良かった。
野外とセットの場面転換が多すぎて日本を舞台にしている感じが出てない。(南に行く「夏」北に行く「冬」はどうでもいい)
縄のついた矢をローガンに何本も刺さって、それでも歩き続けるローガンの図は「弁慶の立ち往生」を意識したのだろう。ちょっと笑えるが好きなシーンだ。新幹線の上でヤクザと蛙みたいに飛び跳ねるシーンも好き。
とまぁ、面白い場面はあるし「一応」日本が舞台ということもあってウルヴァリンサムライは個人的には嫌いじゃない映画だった。至極の名作にはぜったいに成れないが暇潰し程度には最適の一本である。(深く考えたら負けという意味でも)

シルバーサムライは原作通りにオリエンタルな能力で戦ってほしかったなぁ・・・そんなアイアンマンみたいな奴じゃなくてさー。

ジーンとの邂逅はいらなかったなぁ。シリーズモノとしては必要だったのだろうけど、カタルシスが無くウルヴァリン:サムライから観た人にはチンプンカンプンだったよね。

余談、
小川直也がさらっと出ていた。ニンジャに暗殺されてた。ニンジャ強い・・・・レスラーより強い。
余談2.
ユキオの方が顔つきから毒蛇ぽかった。カマキリ女とも
余談3.
シルバーサムライがパワードスーツだった・・・。
余談4.
ハラダ・ケヌイチオがちゃんとハラダ・ケンイチロウになっている・・・。
余談5.
ちらっと映るデジキャラット。世界に羽ばたくデジキャラット
余談6.
ウルヴァリンの最後の攻撃がアダムンチウムの爪じゃなくて骨の爪なのはイイ。
余談7.
マリコとユキオの人が吹き替えだと当人が声優をやっているのだけど酷い。俳優と声優のスキル体系が現在では完璧に別れているって分かった。

不安の種

あらすじ:不思議な事が多発する地方都市「富沼市」を舞台に、そこに引っ越してきた一つの家族。そこに住む一組のカップル。越してきた一人の青年。他人同士の彼らが不思議な体験を通して繋がり合っていく。


感想:
原作はチャンピオン・チャンピオンREDで連載していた中山昌亮のオムニバスホラー漫画「不安の種」。原作のホラー漫画は一話完結の短い話が多く、日常に潜む不条理で不可解なクリーチャーに遭遇した人間の恐怖を描いている。日本ホラーはクリーチャーとの出会いからクリーチャー誕生までの因果を描くことが多いが、この漫画ではクリーチャーの名前や由来、存在理由が解き明かされる事は無く天災のように降って湧いた恐怖体験にただただ怯える人間を描いている。ゆえに、読者はその恐怖のターゲットが明日の自分、読み終えた自分になるのではないかという恐怖に駆られる為、人気を博している。
簡単に言うと、小さい頃に暗闇を意味も無く怖がったりする原体験を恐ろしい怪物として表現した作品。
そんで、そんなホラー漫画が映画化されたので、映画館に乗り込みたかったが。田舎の映画館では上映されなかったのでDVDを待っていたらすっかり忘れて先日思い出して借りた。

出だしから、ヘンテコな童歌と共に地面をナメクジのように這う視神経の付いた目玉を車が踏み潰していくシーンから始まる。
その後、半身が生垣に埋まった男(誠二)と救出しようとする男(巧)の出会いから誠二の回想で物語が始まっていく。(ここで効果音のデカさとクソみたいに拙いCGに嫌な予感がしていた)
物語が始まっていく。と言っても、彼らをテーマにしたショートストーリーが時系列をバラバラにして流れるだけ。
視聴者は観ていくうちに、いろいろ理解していくのだが。漫画好きの人は「あぁーこうゆう奴出てきた」と漫画に登場したクリーチャーの動く姿に懐かしさや驚きを楽しめるモノの漫画を知らない人だとたぶん苦痛だったんじゃないかと・・・。ホラーと言うよりもちょっとシュールすぎる話も多かったし・・・。マネキン女の優しいハンマー攻撃とか市の合併とか急にキレる女とか。
それでも、最後まで見ると、物語としてはちゃんとオチを付けているし漫画のショートストーリーを上手い事一本の映画として纏めているシナリオのセンスは良かった。安い効果音とCGをどうにかしてくれたらもっと嬉しかったがまぁ低予算が見て取れるので我慢。
原作の味をもっと出すには映像化する際に、映画ではなく深夜ドラマとして作ってくれれば原作の風味を損なうことなく出来たのではないかと思う。(そうなると、現在放送しているシンドラや放送禁止、トリハダと被ってしまうが・・・。監督同じだけど)

ナタリーのインタビューによると、「突如襲われる恐怖」ってのは不安の種に登場するクリーチャーとの遭遇なんて非現実的なモノだけはなく、突然の自分の死や身内の不幸といった不安が存在する。人間とはそういった突然襲い掛かる不安(恐怖)とどう向き合って生きていくかが映画のテーマになっているらしい。(富沼市を恐れ続けて家に篭りタイミングを見て逃げた巧の末路と、きょうこからの死の予言を受けてもきょうこと共に富沼市で暮らす覚悟を決めた誠二が監督の「不安と向き合って生きていく」というテーマを表しているのだろう)

漫画を読んだ上でレンタルDVDとして観るなら悪くない映画だった。


余談1.
ループオチだと納得できない点があるから、2つの世界があるんだろうなぁ・・・。

余談2.
岩井志麻子さんは声からマネキン女役だったのだろうけど、顔があんなんじゃ誰でも良かったような・・・。

余談3.
子役の演技がイイ!

余談4.
監督が作詞したあの童歌はなかなか聞き応えがある。
主題歌のノリノリの曲は好き。

不安の種 [DVD]

不安の種 [DVD]

LIFE!

あらすじ:雑誌LIFEで働く主人公ベンは、同じ会社で働くクリステンと仲良くなるべく彼女が参加しているSNSに登録する。彼女のコメントに賛同ボタンを押して注目を引こうとするのだが。ベンのプロフィールの薄さからコメントが拒否されてしまう。会社に行くと、雑誌最終号の表紙を飾る写真のネガが紛失してしまった事によって彼は、撮影した写真家を探す旅に出る。

感想(ネタバレなし?):
先月、試写会に招待されたので雪の残る道をオロオロしながら映画館に向かった。
上映前に99の岡村さんが銀幕に現れて「これから上映する映画で主役の吹き替えをしました」と言ってて。岡村さんの吹き替え版かな?と思ったら不通に字幕ですっころんだ。いや、だったらそのコメントいらんやん・・・。もう一回観てということかな?
映画内容。保守的な生き方をしてきたベンが紛失したネガを探していつもの日常から飛び出す。という、簡単に話すとまぁよくある話ですよ。音楽嫌いの親父がふとしたキッカケでバンドのメンバーになったりするような偏見からの脱却・日常の打破って奴。そうゆう映画って大抵保守派の奴が嫌いだった物に染まって、「今までの俺は最低だった」と裏返り悟って終わるのだけど。この映画は、そうゆう180度の変化して過去を捨てて終わらずに、「今までの生活は確かに酷かったが、その中にも光る物や大事な物はあった。ただそれだけじゃなかった」と右も左も両方を愛する終わり方にしていたのは良かった。
保守派で臆病なベンが旅に出るまで1時間くらいウジウジしているのだけど。そのウジウジから一歩踏み出すまでの心の動きを音楽に乗せて、ベン持ち前の妄想と織り交ぜていく丁寧な作りは見所がある。最初から日常がベンのとんでもない妄想と交じり合っているので、ベンが本当に一歩踏み出した時に「それもどうせ妄想だろ?」と観客を思わせてからの、ベンの「これは妄想じゃない」という台詞は良かったわ。
ベンの写真家探しの旅も四苦八苦あってみていて飽きない。
観ていてアレと思ったのは、ベンが写真家を見つけてからが。ちょっとそれまでストーリーがポンポン拍子に進んでいったので退屈と言えば退屈だったなぁ、お決まりの展開と言えばおしまいだけど、ちょっと後半の展開は安直だったと思う。先が読めすぎた。
ドラマというよりもコメディ要素が多いので子供でも飽きずに見れると思う。
まぁ金出してみてもそれなりに満足できるだろう。