絶唱戦姫シンフォギア(最終回を終えて)

感想(ネタバレ有):
魔法少女モノなのかSHT(スーパーヒーロータイム)枠なのかの問題は、個人的に魔法少女モノとしました。正確にはプリキュア枠でした。どこら辺がと問われると、やはりラスボスを許し世界脅威に対して身を張るその姿でしょうか。戦隊モノや仮面ライダーだとラスボスは倒すべき者として存在しラスボスという脅威を倒せばそこで平和が待っているというシンプルな終わりが多く観られる為、やはり魔法少女モノではないかと。
終わり方については、世間様がなんと言おうとこれは私のブログなんて勝手に感情的に偏見塗れに乱雑に書きますが、
「私はまどマギの終わり方が嫌いなんですよ」。
まどかが身を挺して世界を救ったあのラストって、そりゃ世界は平和な方がいいですけど。まどかの死なんて誰も望んでいないじゃないですか。勝手に「じゃあ私の願いでシステムを変えるね」って所が嫌いなんですよ。一人の女の子が「私の命で世界が救われるなら……」と勝手に世界を救っても、救った本人は「良い事した!みんな喜んでくれる」って悦に入るかもしれませんが、残された人間の立場はどうでもいいのかと。もしかしたら、誰も死なない正解どこかにあるかもしれないのに勝手に行動して勝手に世界を書き換えて「平和の押し売り」みたいで嫌なんですよ。
そんなモヤモヤをずっと心に秘めていて、シンフォギアが始まって、8話目くらいですかね。ノイズに追われる未来を響が見つけようと空高く舞うシーンで、響が独白する訳ですよ。

「戦っているのは私一人じゃない。シンフォギアで誰かの助けになれると思っていたけど、それは思い上がりだ。助ける私だけが一生懸命じゃない。助けられる誰かも一生懸命。本当の人助けは自分一人の力じゃ無理なんだ。」

このセリフを聴いた時に、凄く納得してしまって。このセリフがまどマギで感じたモヤモヤへの返答にように思えてしまった訳ですよ。いや、同じ声優ってのもあって特に。
そして最終回。
やけくそになったフィーネによって月の欠片が地球に向けて落下し続ける時、フィーネは己が不死の存在である為、この戦いを痛み別けで逃げ勝ちしようとします。次に覚醒した時に勝てばよい。と。
何度でも蘇ってくる敵に対する対処は、滅殺するか、不死の原因を取り除くかのどちらがオーソドックスな展開だと思います。まず前者ではフィーネは人類の一部の人間の遺伝子内に存在している為に『滅殺』となると人類を滅ぼさなければいけない。それでは本末転倒。後者の原因を取り除くとなると、フィーネが遺伝子に意思を植えつけた過去に戻らなければならない。しかしシンフォギアシステムに時空移動は出来ない*1。絶え間無きフィーネとの戦いが始まるのかと思っていたら。響は

「どこかの場所、いつかの時代、蘇る度に私の代わりにみんなに伝えてください。世界をひとつにするのに力なんて必要ないってこと。言葉を越えてわたしたちはひとつになれるってこと。わたしたちは未来にきっと手を繋げられるということ。わたしには伝えられないから、了子さんにしかできないから」

と、自分の想いを、不死の存在で聖遺物の力で世界征服をしようとしていたラスボスに託すんですよ。さらっと描いていますが、これって凄い展開だと思いましたよ。
響はフィーネと言うよりも、いままで観てきた了子さんを信じ頼る。世界中に「人間は相互理解が出来る事」伝えて欲しいと。TV版エヴァで人が相互理解出来ないのは、心の壁*2があるからだと説きました。シンフォギアでは人が相互理解出来ない理由をバラルの呪詛によって言語の壁が出来てしまった為だと説きました。言語の壁というのは日本語と英語では会話が出来ないという低いレベルから、同一の言葉を持つ二人でも想いを100%言語化する事は出来ず、また受け手もその言語化された想いを相手の求めるレベルで受け取る事が出来ないという感受性の問題レベルでもあったと思います。その「相互理解」を響は言葉ではなく手と繋ぐことによって分かり合えると。ここの手を繋ぐというのは、手を繋ぐ=互いを思いやる事で想いはロスなく伝わるという意味でしょう。
あの夕日のシーンがシンフォギアの真骨頂。伝えたい全てであったように思えました。
その後、その言葉を裏打ちするように響は月の欠片を破壊する為に絶唱して宇宙空間へと飛び立つ訳ですよ。(命を懸けて現在を救おうとする)
その後なんだかんだあって、賛否両論の復活があって終わる訳でしたが。



終わりよければ全て良し!
いい最終回でしたね。
回を増すごとに、公式に言って用語理解しないといけないのはいささか面倒臭く、分かっていない人の頓珍漢な言葉にイライラすることもありましたが。最終回まで「絶唱メガンテ」だと想っていた人もいたみたいですし。それなら翼さんもクリスも死んでいるだろうに…。やはり一話が印象的過ぎた故の悲劇でした。
しかし、総括して面白かったよ。これは本当に。小難しい100の言葉よりも行動で示してくれるこのアニメは20世紀に置き忘れてしまったアニメらしさを21世紀に持ち込んでくれたようで本当に嬉しかった。それにしても、最終回は本当に「俺の考える最強の最終回」。これを越える事は理屈や理論では出来るだろうが、熱量で表現できる作品が今後どれだけ現われるだろうか。





10月6日には、シンフォギアライブの開催が決定され、クリスのキャラソンオリコン7位になり。円盤の売り上げも世間的な予想よりは上の結果となった次第でありました。
紅白歌手の水樹奈々さんがいることで、奈々ファンの力もありシンフォギアの音楽面では出だしが偉い好調で、「奈々様様やなぁ」と喜んでいましたが、シンフォギアライブとなるとチケットという狭き門に向かってシンフォギアファンはもちろんの事、今まで仲間だと想っていた水樹奈々ファンが殺到する訳ですから、ほんと「奈々様様やなぁ」ですよ。
BD6巻には先行抽選応募チケットが挿入されますよ!!




余談。
現代っ子は、理詰めのアニメを求めているのか、常識場慣れの熱い展開をギャグと間違って理解してしまう事がショックでしたね。
「そーじゃねーんだよ。全てはゲッター線がぁぁぁ」と言っても「ようはグレンラガンのパクリですね」といわれた時はドタマかち割ってやろうかと思いましたよ。(最近辛かった事)

*1:たぶん

*2:ATフィールド