小説

彼女の予言

全て偽りである。現実ではない。創造であり小説である。 彼女との出会いは、私が行きつけの蕎麦屋でソースカツ丼セットを初めて食べた時である。 ソースカツ丼の薬味としてついた大盛りのカラシをカツに塗り過ぎて溢れる涙を拭いながらソースカツ丼を食べて…

小松響子aka.トランポリンガール 7(最終回)

作者さえも長期間ほっとらかしにしてしまった為に内容を忘れてしまったあらすじ: 人外の跳躍力を持つ女子高生、小松響子。 彼女はその能力がゆえに人に疎まわれ嫌われ、母親は去っていった。政府から監視・管理人として派遣された久保井と父親の三人で暮ら…

虚図書館少女と……

注意:この作品はid:hachi_gzkさんブログ「こめびつの中身」に掲載されている『虚図書館少女』へのトリビュート作品です。 誰もいない教室。教室の置くまで勢力を伸ばそうと差し込むオレンジ色の光。 私は日直簿に今日の時間割と休んだ吉田の名前、そして特…

SS(師匠,シリーズより)

とある某有名掲示板を観ていたら、師匠シリーズの二次創作を求めていたので、適当に書いた。 適当と言いながらも、それまでの師匠シリーズの概念を壊そうと思うべく作った作品であり、怖い話としたら下の下です。しかし、この作品により、ライトノベル系怖い…

告白

西日の差し込む放課後の教室で俺は世界は謎に満ちている。と思った。 「これは秘密なんだけど……」 彼女は夕日でオレンジ色に染まる教室で黒板に横線を引きつつ俺に言った。 彼女こと、成城院光は横線の中心に小さな縦線を引くとその上に2008と書いた。 「こ…

メタフィジカル・セルフプレジャー2007 ①

*挨拶* わが師である滝本竜彦氏の最新短編『メタフィジカル・セルフプレジャー2056』を自称弟子の私が大胆にリミックスというか、私なりに書いてみました。大まかな設定と主要キャラは変えずに内容を変えてみました。 書き始めて再度実感しました。やっぱ…

小松響子aka.トランポリンガール 6

6 進歩は文字の如く一歩ずつ一歩ずつ着実に進む。それは、この世界の科学力の発展や人の成長を見ると判り易い。 言葉は似てるが進化は全く違う。 進化は一瞬だ。この世界がビックバンと呼ばれる現象によって出来たように、海中にいた私たち哺乳類の先祖が陸…

小松響子aka.トランポリンガール 5

5 アメリカの大学教授の研究結果によると私の脳には鳥のような体内磁石が存在しているらしい。もちろん人間には体内磁石なんて存在しない。私にもそれと同じ機能を持つものがあるらしい。だから私はどんなに遠くに跳んでも家に帰ってこれるのだ。つまりは常…

小松響子aka.トランポリンガール4

4 夏が過ぎ、秋が走り去って、冬が来たと思ったらまた春になった。 私は、ファミレスでママと逢ったその日から一度も跳んでいない。お正月に電線に凧が引っかかっていても、ジャンプして取らず、電力会社に連絡している。 跳ばずに何をしていたかといえば、…

小松響子aka.トランポリンガール 3

3. 視野を広く持つことが空を上手く跳ぶ秘訣だ。 前ばかり見たり、眼下に広がる町並みにうっとりしていると自分が何処を飛んでいるか、高度は? この後の跳躍地点は? 等と数ある問題に対処できなくなる。大きな視野でいろいろな所を見る事が咄嗟の問題に…

小松響子aka.トランポリンガール 2

2. 見方だった。 私のこの跳躍力を神様からの贈り物だと喜ぶか、化物だと普通じゃないと疎むか、それは各々の見方で、私はこの能力を知った時、比喩表現でなく嬉しくて跳び回った。幼馴染の彼もそんな私の力を知った時、「いいなぁ、何処で習ったん?」と羨…

小松響子aka.トランポリンガール

観点の問題だ。 もし、君が道を歩いていた時、あわてた顔して大空を指差しているサラリーマンに出会ったとしよう。 君は何を見る? ある人はそのサラリーマンの指先を見るかも知れない。またある人は、その指の指し示すビルの屋上を。またある人はそのビルの…

君島直樹は戦慄 6

6. 結果をいえば、両腕は無事だった。 切断される瞬間、僕に赤い雨が降り注いだ。それは腕を切られた為に飛び散った血液だと思った僕は絶望の中に腕に対して別れの言葉を捜していたが、その言葉を記す指がまだ存在している事に驚き、雨の元を探すと奴の首…

君島直樹は戦慄 5

5. そうさ、答えなんて最初から知っていたんだ。ただそれを受け入れる。いや受け止める勇気が無かっただけなんだ。 答えを言おう。答えは「マカロニグラタン」 ゆかりのアホな例え話。嫌いとか怖いとかそんな負の感情に怯えてないでちゃんと向き合う事なん…

君島直樹は戦慄 4

4 「ちょっとトイレに」 と言って、席を立った僕はゆかりにばれない様にトイレの横にある厨房を通り、裏口から店を出た。 雪が止んでいた。 人気の無い路地裏に出た僕は、ポケットからタバコ取り出そうとポケットに手を伸ばすがライターしか見当たらない。 …

君島直樹は戦慄 3

3 僕はゆっくり立ち上がると玄関に向かって歩みを始めた。 こころなしか、右手に握る包丁が重い。 扉の中央に埋め込まれた覗き穴を恐る恐る覗くと、扉の前に立っているのが、連続殺人鬼でもなければ金色の鬣を持つねこ科の動物ライオンでもなく、人間の阿倍…

君島直樹は戦慄 2

2 小さい頃に誘拐されそうになった。ある日、公園に一人で遊びに行くと、ブランコに黒髪のセーラー服を着たお姉さんが座っていて僕を見ると、何処の子?と聞くので、「君島直樹です!」と大きな声で答えたら、お姉さんはうっすら笑って、あんみつ好き?と言…

君島直樹は戦慄 1

1 君島直樹はどうしようもない臆病者で、いつも何かに怯えていた。 俺が初めて逢った時も誰かに狙われているのかと訊きたくなるほど周囲を気にしてオドオドしていた。年がら年中挙動不審に我慢が出来なくなり直樹に何がそんなに気になるのか?と訊ねると、…

『古見マドカと必要性』反省会

ビオ(脳内彼女)「第35098回、短編を一つ書き上げたくらいで大作家への道が開けたと勘違いした管理者を罵る会議」 kobachi(当ブログ管理者)「まぁ、新年早々去年の事を書くなんて馬鹿らしいけどね」 ビオ「では、ここで処女作『古見マドカと必要性』…

古見マドカと必要性5(最終回)

5 マドカは自宅に戻り部屋に篭った。 思いは重い。駄洒落じゃなくてそう感じた。最初は彼の為だけに生きようと彼を幸せにしようと思っていたのに、気付いたら彼を束縛する自分がいた。彼に無条件で与えた愛に、見返りを要求する汚い自分がいた。このままあ…

古見マドカと必要性4

4 ここで、その時の俺は知るはずの無いマドカの過去を書こう。 古見マドカは郊外の市営団地C棟三階304号室に住む古見家に生まれる。兄も姉もいない、そして両親の財政面から弟や妹が出来ることもなかった。しかし、両親は一人娘のマドカに寂しい思いをさ…

『古見マドカと必要性』3

マドカが我が家に住み着きはや2週間。 朝起きて布団から這い出ると、いつもと空気が変わっていた。キーンとしててまるで鋭利な刃物のように俺の肌に突き刺さる冷気。恐る恐るカーテンを開ければ一面の雪景色。初雪だ。俺は椅子に掛けたドテラを着込むと湧き…

古見マドカと必要性2

マドカはその言葉を聞くとまるでスイッチの切れた人形のようにベッドに倒れ込む。大丈夫か?と心配になって覗き込むとマドカは満足したようで満面の笑みで微笑んでいた。 それから数日後、マドカの事なんかすっかり忘れて、俺は後期テストに向けて友人のノー…

『古見マドカと必要性』1

1 徹夜でゲームをしている俺に、カーテンの隙間から一条の光が降り注ぎ、もう朝なんだなぁ。とカーテンを開けた先、窓の外、つまりは家先に倒れていたのがゴスロリ服を纏った古見マドカだった。あまりの現実性の無いイベントに最初はマネキンか、等身大の抱…

『胴斬り』

いっぱいの運びありがとうございます。 最近の親御さんってのは、子供に刃物を持たせないようですなぁ。子供が包丁なんか持ったりすると「こら、危ないからよこしなさい!」なんて言ったりして刃物を取り上げてしまう。私が小学生の頃なんて学校に入ると教材…

『生首提灯』

えぇ、いっぱいの運びありがとうございます。 最近はずいぶん物騒になってニューなんか見ているとやれ、保険金殺人だの監禁だの誘拐だのって怖いことばかりですなぁ。 そういえば、通り魔なんて言葉もよく使われるいますなぁ。夜道を一人で女性が歩いていた…